科学のつまみ食い 雑記帳
顕微鏡で観察するプレパラートを作成するのに最も簡単なのものは多分植物ではないでしょうか?動物と違って植物は動きませんし、生物を切断する後ろめたさが非常に少ないので、誰にでも簡単にプレパラートを作成できます。
植物の組織の中でも花粉が最も簡単だと思います。花粉の一時プレパラートの最も簡単な作り方は、花粉をスライドグラスに落とし、水を一滴、花粉の上に落とし気泡が入らないようにカバーグラスで覆います。ところで、花粉によっては、水に浸けることで、破裂し花粉の中身である原形質が飛び出てしまう場合があります。その場合は水の変わりにグリセリンを使用したり、乾いていれば直接バルサムで封じても良いでしょう。また、封じることをせずにカバーグラスを掛けないで観察しても良いでしょう。但し、花粉は乾燥状態と水を若干含んだ状態では形状が大きく変わりますので、注意が必要です。
さて、花粉観察で最も良く使われるのはグリセリンゼリーです。このグリセリンゼリーの作り方を後ほど別稿で簡単に書いておきます。
右のサザンカの花粉の写真はこのグリセリンゼリーで封じたものです。
撮影データ
対物レンズ PlanApo x10
接眼レンズ FK x6.3
撮影アダプタ Long
カメラ *ist D
SS 1/60
ISO 200
撮影倍率 0.1138μm/pix
多重焦点撮影 13 frames focus composite
です。直径58μmで、花粉の表面についている毛のようなものの長さは、2μm以下です。この対物レンズの分解能が0.86μmであることから、一応毛のようなものは解像されていることがわかります。焦点深度は2.69μmですから、13フレームの多重焦点撮影で十分なはずですが毛のようなものはちょっとぼけています。サザンカは鳥媒花と呼ばれ、主に鳥が花粉を移動させます。従って、この毛のようなものは、鳥に付着するためにあるものと思われます。