科学のつまみ食い 雑記帳
久々の天体観測です。メシエ写真や惑星写真等の観測データの更新はしていましたが、いずれも2004年の秋口までで、それ以降、星の観測はしていません。実は、手持ちのLX200GPS-30を赤道儀マウントにし、自宅の庭に据え置きにするため、2005年の春から、色々やっていたのですが、2006年の春に父が倒れて以来、天体観測及び天体望遠鏡の据え置き工事は滞っていました。現在も滞ったままですが、このままでは、天体観測のほうができない状態です。
以前、この「科学のつまみ食い」で「星野写真を撮ろう」と題して掲載しています。この時は固定撮影で、星の軌跡を掲載してあります。今回は、上で述べた据え置き工事が済んでから、追尾撮影の星野写真を掲載するつもりでいたのですが、なかなか進まないので、思い切って、小型でポータブルの追尾装置を購入しました。それが、左の写真のCD-1で、EYE BELLで3万円弱で3月15日に購入しました。しばらくは、これを用いて、ガイド撮影をするつもりです。
固定撮影では
さて、通常の固定撮影では、右の写真のように星像が流れてしまいます。
撮影データは
カメラ PENTAX *istD
レンズ PENTAX FA50F1.4
ISO=800 SS=58s F1.4
固定撮影
です。
約1分の露出でもこれだけ流れてしまいます。ちなみに、この写真は3月31日20時頃に撮影したもので、撮影対象はしし座で、中央下部にある明るく光る星の右側は、ライオンの心臓といわれるレグルス(Reguls)で1.35等級です。その左横に見える明るい星は実は土星です。
では、この購入したCD-1を使用したガイド撮影ではどうでしょう?右の写真は上と同じ日にガイド撮影で撮影したしし座のレグルスです。このように星が点に写っています。
撮影データは
カメラ PENTAX *istD
レンズ PENTAX FA50F1.4
ISO=800 SS=58s F1.4
ガイド撮影
で、上と同じです。このように、同じ露出時間でもガイド撮影を行うことによって、星を点に写すことができます。
さて、この二つの写真を比べると線と点で写る以外にもう一つ大きな違いに気づくと思います。そうです。星の数が圧倒的に違います。ガイド撮影することによって、同じ位置に長く露光できるので、光を多く集められ、淡い弱い星も撮影することができるのです。固定撮影では、約7.6等星まで写っていますが、ガイド撮影では、更に暗い9等星程度まで写っています。
ところで、2分の露光時間でも撮影を試みているのですが、残念ながら、私の自宅では光害(光の害ですよ)がひどくって、真っ白になってしまいました。
さて、次には上のように1分間のガイド撮影した写真3枚をコンポジット処理したのが、この写真です。上の写真と比べると、ノイズが少ないはずですがわかりますか?また、ノイズに埋もれていた星を強い画像処理で浮かび上がらせています。この場合には約10等星くらいまで確認できます。
撮影データは
カメラ PENTAX *istD
レンズ PENTAX FA50F1.4
ISO=800 SS=58s F1.4
ガイド撮影
3 frames composite
です。
では、広角レンズで星座全体を撮影してみましょう。写真には星座線を入れてあります。こうすると、星座がよくわかります。しし座を中心にこじし座、かに座、うみへび座、ろくぶんぎ座がその周りを取り囲んでいます。コンポジットしているので、隣家の窓明かり等が重なって写っています。おもな星の名前も書いておきました。土星も見えます。上の50mmで撮影した写真と比べてみてください。
カメラ PENTAX *istD
レンズ PENTAX DA★16-50F2.8
ISO=800 SS=118s F2.8
5 frames composite
ガイド撮影
です。
おまけ
こちらは、固定撮影のコンポジット合成です。ゴールデンウィーク(2008/05/04)にCD-1を持ってキャンプに行ったのですが、三脚を忘れてしまいました。仕方がないので追尾撮影をやめて、固定撮影にしました。しかし、固定撮影では、バックグラウンドが明るくなり、星は流れて明るくならないので、露出時間が限られてしまいます。そこで、2分露出を6枚撮影し、それを、比較明(明るいほうで重ね合わせる]という方法で積算しています。なお、撮影の間隔を20秒開けています。これは、この*istDというカメラが、CFに書き込む時間を見越しているからです。したがって、写真は点線になっています。すなわち、20秒分写ってないのですね。
撮影情報は
カメラ PENTAX *istD
レンズ PENTAX SMC-T 28mm F3.5
ISO=200 SS=118s F3.5
6 frames composite
固定撮影
です。