科学のつまみ食い 雑記帳
対物レンズの分解能Deltaは顕微鏡観察の方法に書いてあるように対物レンズの開口数をNA、光の波長をLamdaとすると
Delta=Lamda/(2・NA)
で表されます。そこで、私が最近良く使用している対物レンズの分解能が実際どの程度あるか調べてみました。
まず、上の分解能Deltaは2つの離れた点や線をきちんと2つに分解する能力で、大きさDeltaのものが確認できるという能力ではありません。そこで、2点間の距離がわかる試料が必要になります。0.86μmと0.37μmですが、そんな都合の良い試料は存在しません。そこで、フィルム状の回折格子を使うことにしました。この回折格子は1mmm当たり1000本の溝が掘ってありますので、溝と溝の感覚は1μmで、溝の太さが0.5μmになります。これを左の写真のようにスライドグラスの上に載せ、カバーグラスを掛け、周りをテープで止め空気で封入しました。
右の写真は上から順に
対物レンズ
Olympus FlPLL40
M=x40 NA=0.75 Delta=0.37μm(@0.55μm)
Olympus PLL20
M=x40 NA=0.40 Delta=0.69μm(@0.55μm)
Olympus PlanApo10
M=x10 NA=0.32 Delta=0.86μm(@0.55μm)
Olympus Ach4
M=x4 NA=0.10 Delta=2.75μm(@0.55μm)
接眼レンズ
Olympus FK6.7
カメラ長
125mm
で撮影し、それぞれの写真を
1/10
1/5
2/5
1/1
に縮小し、中央部の300x200pixをトリミングしたものです。下に行くほど分解能が悪くなっているのが判りますが、一応、分解能が2.75μmのOlympus Ach4以外はきちんと解像しているのが判ります。
この撮影をしていて問題だったのが、人間の目の分解能です。Olympus FlPLL40の場合は分解能も倍率も高いためフォーカスをあわせるのが比較的楽です。顕微鏡を覗いていてもきちんと分解して見えます。しかし、Olympus PlanApo10では、眼視で分解するのは辛いものがあります。高倍率の接眼レンズが必要だと思います。