科学のつまみ食い 雑記帳
最近、ホームページの更新が遅れていたのは、昨年と同様に父の状態が良くなかったためです。ここで、再度近況(個人的事情U)として、その経過を書かせてもらいます。詳細は、また別途まとめて、ここ雑記帳に記載させていただきます。
★大動脈瘤の拡大
3月20日 医師の説明
右の写真は、この日、医師の説明を聞く2週間ほど前に、父の元を訪れた際に飛行機上から撮影した富士山です。この時は、2週間後に下のような説明を聞くことになろうとは思ってもいませんでした。
先週より、昨年度手術した大動脈瘤手術(人工血管)後の検査入院をしている父と共にその結果を医師から聞き、今後簿方針を決定しました。この際説明してくださった医師は、大動脈瘤が破裂した際の手術をしてくださった医師ではなく、別の若干若い医師でした。
○結果:弓部大動脈瘤(従前の手術で人工血管に交換していない部位)
○大きさ:55mm(昨年5月6日の手術)後、10mm程度拡大)
○状態:瘤の拡大が早いため、なるべく早く処置をしたほうがよい。
1年間の破裂率:10%、5年間の破裂率:50%以上
○処置方法:
開腹手術:
昨年2回手術しているため手術部位の癒着があり、困難な手術になる。
重大な後遺症が残る確率:30%(うち死亡率:5%)
ステントクラフト置換術:
弓部であり、当院の医師では実績は無い、失敗したら開腹手術が必要
○結論
開腹手術をする。
ということでした。父は相当葛藤がありました。というのは、長時間歩くと疲れやすく、心臓がどきどきすること以外、すこぶる快調で、大動脈瘤の自覚症状が無いためです。本当に、数年以内に昨年3月のように大動脈瘤が破裂するとは信じられない様子でした。また。私たち家族も、父の思いを考えると、危険率が30%あるが、ここ1年の死亡率は10%程度で手術を積極的に薦められませんでした。このような状況のため、医師の説明を受けたその日に、父は手術をしないことに心を決めていました。しかし、翌日、医師の回診の際に、大動脈瘤を破裂した際に手術してくださった医師が、手術を受けないとの父の言葉に驚きを隠しませんでした。この医師の驚きがきっかけで、再度、悩んだ末、手術のリスクが30%と高くても手術を受ける決心をしたのでした。
4月上旬は人事異動などで、スタッフの移動などで手術の計画が立てられないため、手術の予定が立てられた連絡をしていただくと言うことになりました。、
上に述べたように、手術の予定が立ったら、連絡を頂くということになっていたのですが、なかなか連絡が来なくて憤っていたところ、医師から父に4月20日に説明があるので来るようにとのこでした。私は父に一緒に行こうか?と伝えましたが、父は一人で大丈夫とのことで、旭川に行かなかったのですが、医師は、家族に来てほしかったようです。そのため、医師から私に直接電話がありました。その内容は...
★大学病院で手術することに
4月14日
医師からの電話は、
大学病院ではステントグラフト挿入術で、弓部大動脈を治療した経験があるので、大学病院で手術を受けてはどうか?)
という内容でした。私は、父さえ良ければ、ということで、二つ返事でOKをしました。この結果、大学病院で、ステントクラフト挿入術で手術をすることになり、大学病院のスケジュール待ちということになりました。
5月22日
父が大学病院へ転院
5月25日
私が大学病院でステントクラフト挿入術の説明等を受ける。
5月26日
手術後の個室等の空きが無く、朝突然、手術を29日に延期すると言うことになりました。父は、心の準備をしていたので、気が抜けたようでした。午後の手術予定だったので、朝食抜きでしたのでおなかがすいたようです。
5月28日
この写真は28日に時間があったので、大学病院内の植物園にあった蘭を撮影したものです。
ステントグラフト挿入術【5月29日】
手術の詳細は別に詳細に記載しますが、手術は29日に行いました。手術は午後から行い4時間ほどで終了しました。結果は、うまくいきませんでした。手術自体、父の様態自体はまったく問題はありませんでしたが、大動脈瘤の部分が、弓部大動脈で大動脈が弓状に湾曲しているため、ステンドでうまく瘤をふさぐことができず、結局ステントの外側にも血流があり、瘤に血圧がかかっている状態は変わらないということでした。そのため、手術の効果が無く瘤の破裂の危険性は下がっていないとのことでした。
とりあえず、今後、開腹手術を前提に体力の回復を待つこととなりました。この写真は、上と同様手術前日に大学病院の芝生で撮影したタンポポです。
私は、手術に合わせて、5月25日から31日まで父のそばにいましたが、ステントグラフト挿入術は開腹手術に比べて、患者の負担が非常に小さいので体力の回復が非常に早いです。手術終了後は集中治療室には入らず、個室に戻り、意識もしっかりし、話もできました。翌日の30日の昼には食事もとることができ、31日には個室から大部屋に移りました。とりあえず、手術の悪影響もなく、再度の手術、たぶん開腹手術になるでしょうが、それを待つこととなりました。
さて、同じようにステントを入れなおす、あるいは、位置を変えるという手術をしても、ステントがきちんと血管内の瘤の位置に留まるかどうかは、不確かなので、次の手術は、開腹手術のほうが、良いというのが医師の判断でした。父も私もその判断に従うこととしました。このようにして、次の手術まで待つこととなり、私は、病院を発って家へ戻りました。その後、父は体力を回復はしましたが、どうも、疲れやすい、北海道(東北も)の方言で言うと「こわい」という状態です。また、貧血が治らない。そこで、病院で6月6日にカテーテルをいれ検査をしたところ、狭心症であることが判りました。このCTの写真を見てください赤丸で囲んであるところの血管が細くなっているのが判ります。この血管は心臓の筋肉への血流を司っています。この血管が細くなって、けついぇきを十分に送れなくなるのが、狭心症です。狭心症のための処置を6月9日に行うことが決まりました。また、北海道に行くことになりました。
この狭心症の措置は、PCI(経皮的冠動脈形成術)といい、大動脈瘤のステントグラフト置換術と同様な方法で、血管の内側に、カテーテルを用いてステントを留置する処置で、これは、今父がかかっている心臓血管外科ではなく、内科での措置になります。この処置は6月9日の午後3時半から始まりました。1時間程度で終わる予定が、3時間近くかかりました。原因は、止血がうまくいかなかったそうです。PCI自体はうまくいったのですが、カテーテルを挿入した腕の血管からの血が止まらず、血管を縫合しても縫合するために針を通した穴から次々と血があふれ出てくる状態で、完全に止血できないまま、縫合して戻ってきました。そのため、腕がパンパンにはれ上がっています。
これは、大動脈瘤の破裂や不整脈などの防止のために血液が固まらなくなる薬を長い間続けていたためのようです。しかも、このPCIを行った場合にも血液を固まらないようにするために薬を使わなければなりません。この腕の腫れあがりは痛々しいものです。とりあえず、PCIのほうはうまくいき、このCTの写真のように細かった血管が見事太くなっているのがわかります。
さて、とりあえず、最初のステントグラフト挿入術はうまく行きませんでしたが、その後の狭心症のPCIはうまくいき、父も「こわい」という症状はなくなり快適な入院生活を送っていましたが、幾つか問題がありました。
それは、出血傾向です。最初のステントグラフト挿入の際もPCIの際も手術ではありませんが、血管にカテーテルやステントを挿入するために、2〜3cmほど切開しています。また、動脈に穴を開けこれらカテーテルやステントを挿入していくのですが、この小さな傷口がふさがらずに、血液が漏れてきます。そこで、血管を縫合すると、その縫合した針の穴から血液が漏れ、血が止まらないという状態が続きました。PCIの際には結局2時間ほどの圧迫で止血をしましたが、完全には止まらず、しばらく傷口が完全にはふさがっていませんでした。このような、出血傾向が続く状態となっていました。
その後、再度ステントグラフトを挿入することになりました。このことについては、また後ほど、紹介いたします。