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by I-satto@07/01/20

 

【火星 Mars】

 火星は、人類にとって最も興味ある惑星の一つでした。太陽系で地球以外に生命体が存在するとして唯一、信じられていた惑星です。事の発端は1877年に G. V. スキャパレリが火星の筋模様を発見したのちに、P. ローエルが「火星(1895)」という本でそれを運河であると主張したことからはじまり、冬になると大きくなる極冠からは地球のような四季を連想し、雲の存在なども人々に火星人がいると信じさせたのでした。実際、1964年に打ち上げられたマリーナ4号による火星探査では、運河や流水のないことや大気はほとんど炭酸ガスで,気圧も地球の1/100程度であることなどを、明らかにしました。また、1975〜76年に実施されたバイキング計画は火星に観測機器を軟着陸させ,火星に生命が存在するか否かの調査を主な目的としていました。これらの結果はいずれも火星に生命体が存在することを肯定できるものではありませんでした。

 火星はその色が赤く見えるので、ヨーロッパでは軍神マルスにたとえられ、日本では「災星」「炎星)」などといわれていました。実際、望遠鏡で覗かなくても赤く怪しく光る星が火星だと直ぐにわかります。

 

 外惑星である火星は衝のころ、最も地球に近づきます。この接近は約2年2ヶ月毎に起こりますが、この接近の距離はそのつど異なります。火星が太陽に一番近いところに来たときを近日点といいますが、このころに衝になれば大接近となり、今年(2003年)が該当します。これは、ほぼ15年ごとに起こりますが、今回は超大接近といわれるほど地球との距離が 縮まります。この超大接近はほぼ79年毎に起こります。過去には1924年に超大接近がありました。次の超大接近は2082年になります。通常大接近のころの火星の大きさは24秒程度ですが、今回の 超大接近は25秒を越えます。ちなみに、小接近のころでも15程度の大きさにはなります。大きさの実際は下の図のような比率になります。

 

 

 接近したときの大きさはそんなに違わないことがわかりますが、接近していないときは非常に小さいことがわかります。今後の火星の接近の様子は下のようになります。2年毎に小接近が見られますので、定期的に観測していくとよいでしょう。

【火星観測】

 では、実際の観測はどうしたらよいでしょう。 できるだけ高い倍率で見るとよいでしょう。シーイングが悪く、高い倍率では像が揺らめいてよく見えないときは、徐々に倍率を落としていきます。最初は火星の模様をスケッチをしたり写真に撮影すればよいでしょう。また、火星は自転速度が地球とほぼ同じ24時間37分ですから、41分に1回スケッチや写真を撮影すると約10°自転した時の模様が見られます。この様にして模様の変化を記録して火星の地図を描いていくのも面白いかもしれません。 また、火星も四季によって模様が変わります。特に極冠といわれる北極や南極に見られる白い部分は、夏に小さく、冬に大きくなる様子がわかりますので、そういう変化を調べるのも面白いでしょう。

 

 

 

 

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