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顕微鏡観察の方法 |
疑似暗視野撮影
顕微鏡観察をする場合や顕微鏡撮影する場合に通常の透過型顕微鏡では標本を薄くして観察しなければなりません。光の透らない標本は基本的には観察できません。そこで普通は反射型の表面観察ができる顕微鏡、いわゆる実態顕微鏡が必要です。実態顕微鏡は作動距離が長く、視野も広く、解剖や表面観察には最適ですが、顕微鏡を2台を持つのは普通は大変です。そこで、通常の顕微鏡を暗視野照明や疑似暗視野照明をすることによって、表面観察をしやすくする方法をご紹介します。
例えば、以下の写真を見てください。以下の顕微鏡写真は通常の照明で撮影したものと、ここで紹介する疑似暗視野照明で撮影したものです。
上の写真は、永久プレパラートを観察しようのトイザラス編で紹介していますが、シラミです(^^;;。
さて、このように、疑似暗視野照明を使う標本が厚くてうまく観察できない場合に、有効な方法であることが判ります。では、原理はどうなっているのでしょう?
【疑似暗視野照明法】本来、暗視野照明は試料を照らす光線を光軸中心ではなく、斜めから照射します。この場合に、光線が直接視野内に入らないようにし、試料にあたって反射または回折した光のみが光軸に入るようにします。従って、本来の暗視野照明では暗い視野の中に試料が光って見えます。この方法は試料が透明な場合に有効ですし、分解能は高くなるわけではありませんが、通常の透過照明の場合には最小でも0.4μm(光の波長)程度の物しか見えませんが、暗視野照明法を使用すれば、その1/100程度の0.004μmの微粒子までその存在を確認することができます。ところで、ここで紹介する疑似暗視野照明法は暗視野照明を応用したもので、斜めから光を入れることにより、試料の表面も明るくしようという方法です。ですから、上の写真のように表面が少し見えるようになります。ですから、原理は暗視野照明とほとんど同じです。
上の図を見てください。左側が通常の明視野照明で右が暗視野照明です。
明視野照明ではコンデンサー下の絞りで、対物レンズに入射する光を制限し、対物レンズの外に出ないようにします。これによって、無駄な乱反射が少なくなり、コントラストが良くなります。対物レンズのN.A.(開口数)と同じ程度まで、絞りを絞ります。絞りすぎるとコントラストは若干あがりますが、視野が暗くなり分解能が悪くなります。
さて、暗視野照明では、右側の図に示すように、中心遮光をします。この方法は図でわかるように絞りの中央を遮光します。この中心遮光の大きさは、対物レンズのN.A.(開口数)と同じにします。これにより、対物レンズに入る光はまったく無くなり、その中心遮光の外側の遮光されていない部分から光が入り、暗闇に標本を明るく浮き上がらせることになります.
では、疑似暗視野照明法の場合にはどうするのでしょうか?これは、中心遮光の大きさを対物レンズのN.A.(開口数)より少し小さくします。それにより、全体が明るくなり、一番上に紹介した右の写真のように表面も照らされ、透過光も見える状態になります。
では、実際にはどうするのでしょう。本来は暗視野コンデンサーというものを使用しますが、このような専門のものを使わなくても簡単に暗視野照明や疑似暗視野照明を行うことが可能です.下の写真のような遮光版を作って、絞りの上に載せればよいだけです。
左側の中心遮光版は透明なプラスチックを円形に切り、中心部分に黒い紙を張ったものです。右側の中心遮光版はダンボールを黒く塗り、図のように切り出したものです。このような簡単な工作で、暗視野照明や疑似暗視野照明が可能になります。
ぜひやってみてください。