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顕微鏡観察の方法 |
顕微鏡の使い方
【使ってみよう】
,顕微鏡は精密な光学器械ですから使い方には十分注意しましょう。使い方を間違えると、大切な対物レンズを壊したり、試料のプレパラートを割ってしまったりしますから注意してくださいね。
顕微鏡は既に対物レンズやステージ、コンデンサなどはついていて、接眼レンズだけついていない状態だとします。
1)ステージを対物レンズから離す。
1番最初にしなければならないのは、顕微鏡を覗く前にステージを対物レンズから放すことです。これによって、誤って対物レンズや試料の載ったプレパラートを壊す事はありません。横からステージを眺めながら祖動ねじを回してステージを下げます。鏡筒が動くタイプのものは鏡筒を上げます。
2)対物レンズを選ぶ
顕微鏡は低い倍率から高い倍率へと順に倍率を上げてみていくのが基本です。そこで、最初に最も倍率の低い対物レンズをレボルバーをまわして鏡筒の真下に持ってきます。対物レンズに手をかけないでレボルバーの淵に指を当てて、静かにゆっくりとまわします。普通は、顕微鏡をしまう時に最も低倍率の対物レンズにしてからしまいます。ここではx4の対物レンズを選んだとします。
3)接眼レンズを選ぶ
同様に低い倍率の接眼レンズを選んで鏡筒に差し込みます。ここでは、x5の接眼レンズを選んだとします。この時、顕微鏡の倍率は20倍になりますね。
4)明るさを調節する
いよいよ顕微鏡を覗きましょう。昔は顕微鏡を覗く時は、左目で覗くと決まっていました。というのは、両目を開けて、左目で顕微鏡を覗き、右目でスケッチ用紙を見ながら右手でスケッチするためです。しかし、今では簡単に顕微鏡写真が撮れるので、スケッチする機会は少ないでしょう。それでも、左目で覗いたほうが良いですね。さて、顕微鏡を覗くといっても、まだ観察するのではありません。明るさを調節します。接眼レンズを覗きながら、反射鏡を調節して最も明るく見えるようにしましょう。この時、コンデンサや絞りも調節して明るく見えるようにします。最近の顕微鏡では光源付きのものも有ります。この場合は明るさの調節は非常に簡単です。また、光源付きでなくても、最近は電球型のインバーター蛍光灯が売られています。これは、消費電力25Wで100Wの明るさですから、顕微鏡の近くにおいても熱くならないですから、非常に便利です。この蛍光燈があれば夜中に観察することができます。
5)プレパラートを載せる
では、ステージにプレパラートを載せます。プレパラートの試料の部分が対物レンズの真下に来るようにします。
6)対物レンズと試料を近づける
対物レンズは焦点(ピント)の合う距離が大体決まってます。これを作動距離といいますが、対物レンズによって異なります。対物レンズの倍率が高くなるほど作動距離は短くなり、対物レンズはプレパラートに近づいていきます。大体の目安としては、x4くらいの対物レンズで10mm、x10で5mm、x40以上だと1mm以下ですから、横から見ながら作動距離より小さくなるように祖動ねじを回して対物レンズを試料に近づけます。
7)焦点を合わせる
次ぎに焦点合わせです。接眼レンズを覗いて、視野の中に試料が見えてる事を確認します。見えていなければ、試料の載ったプレパラートを少し移動させてください。見えましたか? これでも見えなければ、かなり焦点がずれています。横から試料の中央が対物レンズの真下に来ている事を再度確認して、対物レンズをもう少し試料に近づけて下さい。そうして、接眼レンズを覗きながら、祖動ねじを回してステージを下げる(鏡筒を上げる)と徐々にピントが合ってます。祖動ねじで合わせられなくなったら、今度は微動ねじを使って焦点を合わせてください。さて、合いましたか?。
8)再度明るさを調節する
焦点が合ったら、接眼レンズを覗きながら、コンデンサーねじを回してコンデンサーの位置を変えたり、絞りを回して絞りの明るさを変えたりして、最も見やすいように調節して下さい。これで準備OKです。コンデンサや絞りで、分解能や焦点深度が変わります。見やすさは以下の表を参考にして下さい。
絞り | 分解能 | 焦点深度 | コントラスト | 明るさ |
開く | 高い(良い) | 浅い(悪い) | 低い(悪い) | 明るい(良い) |
閉じる | 低い(悪い) | 深い(良い) | 高い(良い) | 暗い(悪い) |
兆度良いところを探してくださいね。
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いよいよ観察です。さて、、両目を開けてまうか?見えたものをスケッチするのには両目を開けていたほうが良いですよ。まず、低倍率で全体を観察しましょう。おして、細かく見たいところがあれば、対物レンズや接眼レンズを交換して観察しましょう。レンズを交換したら、ピントがずれるので再度ぴんと合わせをします。また、高倍率では焦点深度が浅くなって奥行きにピントが合わなくなりますから、微動ねじを回しながら奥行き方向も観察していきましょう。このように奥行きのほうも同時に観察しながらスケッチすれば、写真よりも精密な図をつくることが可能ですよ。
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【測定しよう】
顕微鏡は元々観察するための道具で、測定するための道具ではありません。しかしちょっと工夫をすると、長さとか太さとかを測定する事が可能です。例えば、「顕微鏡の仕組み」で説明した接眼レンズの視野数から実視野を計算して見える範囲から大きさを知る方法があります。例えば、上の画像ですと倍率10倍で視野数18の接眼レンズに、倍率4倍の対物レンズですから、実視野は4.5mmになります。これは左の黒いところから右の黒いところまでの距離が4.5mmということですから、大体の大きさはわかると思います。しかしこの方法は、接眼レンズの視野数が判っていないとできませんし、大きさを正確には測れません。また、多くの学習用の顕微鏡では視野数が判らないものが多いですから、この方法が使えるとは限りません。本格的にはミクロメーターというのを使用するとかなり正確に測定することが可能です。これは、対物ミクロメータと接眼ミクロメータというものの組み合わせで、接眼ミクロメータを接眼レンズに装着し、対物ミクロメータを試料として観察します。どちらも定規のようなメモリがついていて、対物ミクロメータのメモリから、接眼ミクロメータのメモリを測り大きさを決めるものです。残念ながら、私は入手していないので、入手したときに再度紹介いたします。ここでは、普通の家にある材料で簡単な計測用のスケールを作ってみましょう。
1)準備するもの
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観察セットA(ビクセン) |
準備するものは、カメラ、フィルム(白黒フィルムが良いかも)、30cmくらいの定規、プレパラートを作成するためのキット(スライドグラス、カバーグラス、カナダバルサム)、はさみのこれだけです。作成には後ほどにも紹介しますがビクセンの観察セットAを使用しました、。
定規 |
2)写真を撮る
まず、定規を床に置きます。透明の定規の場合は下に白い紙を敷くと良いでしょう。そして、写真を撮ります。大体定規がカメラから覗いた幅一杯に広がるようにして撮ります。1mくらいです。もしそんなに近くから撮れない場合には、カメラの許す限り近くで撮りましょう。但し、1mより近くする必要はありません。失敗した時のために、幾つか近くしたり遠くしたりして幾つか撮影しておきましょう。さて、その撮った写真は現像を頼みましょう。
フィルムを顕微鏡で覗いたところ |
3)フィルムを顕微鏡で見てみよう
フィルムが現像から戻ってきたら、定規を撮影した部分を顕微鏡で覗いてみてください。ちゃんと、撮れてますか? 顕微鏡で定規のメモリがちゃんと見えますか? ちゃんと見えるフィルムを使います。
4)フィルムを切ろう
さて、良く見えるフィルムを1cm X 1cmの大きさに切ります。この時、定規のメモリの有る方向の長さはできるだけ正確に1cmにして下さい。もし、丁度1cmにならなかった時はその定規の方向の長さを測ってください。できるだけ正確に、9.5mmとか、9.3mmとか。。。
出来上がったスケール |
5)プレパラートを作ろう
さて切り取ったフィルムをスライドグラスの上に載せ、そこにカナダバルサムを2〜3滴たらして、静かにカバーグラスをかけます。カバーグラスは片方をスライドグラスにつけ、もう片方を持ち上げて、持ち上げたほうからゆっくりと、下ろしていくと、中に空気が入らずに良いプレパラートができます。
6)スケールを測ろう。
さて、先ほどフィルムの長さを測っておきました。9.5mmでした。次ぎに、この出来上がったプレパラートを顕微鏡で見ます。そして目盛りが幾つあるか数えます。 端から端までの目盛りの数ですよ。さて幾つありましたか?を数えます。このときは63個有りました。ということは、9.5mmの中に63個ですから、ひと目盛りあたりの長さを計算します。
9.5mm/63=0.15mm
です。ひと目盛りあたり0.15mm=150μmということになります。これで、顕微鏡を覗いた時に長さを測るための道具であるスケールができました。
このスケールを利用して、撮影した写真から大きさを求めるための変換表を作りました。このようなスケール変換表を作っておくと、大体の大きさを計測する場合の目安になります。勿論スケールや顕微鏡、写真撮影法によって異なりますので、各自で作ってください。
スケール変換表 (写真サイズ89X122mm)) |
対物レンズ倍率 |
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接眼レンズ倍率 | μm/mm | x4 | x10 | x40 |
無し | 31.4 | 14.3 | 3.7 | |
x10 | 29.5 | 11.1 | 2.8 | |
x15 | 14.5 | 5.6 | 1.4 |