プレパラートを作って観察しよう
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by I-satto@07/06/24
顕微鏡でいろいろなものを観察する最も手っ取り早い方法として市販の永久プレパラート を永久プレパラートを観察しようで紹介していますが、ここでは、動物、植物、微生物、 その他色々な試料のプレパラートの作り方を紹介します。簡単な方法もたくさんありますので、実際にやってみてください。
グリセリンゼリー | 花粉の観察 | 口腔上皮細胞 | 葉の横断面 (ミクロトーム) |
水中微生物 |
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【口腔上皮細胞】
サザンカの花粉の際に「顕微鏡で観察するプレパラートを作成するのに最も簡単なのものは植物ではないでしょうか?動物と違って植物は動きませんし、生物を切断する後ろめたさが非常に少ないので、誰にでも簡単にプレパラートを作成できます。 」と書きました。しかし、動物でも自分なら、あまり後ろめたさは無いでしょう。ここで、動物のプレパラートで最も簡単で身近な口腔上皮細胞のプレパラートを作ってみます。 口腔粘膜上皮細胞は頬の内側の細胞で、動物の組織の中でも自分自身の口腔上皮細胞が最も簡単にプレパラートを作成でき、観察できると思います。
口腔上皮細胞の一時プレパラートの最も簡単な作り方は、
1.口を十分にゆすぐ。
2.頬の内側を小型のスプーンでなぞる。
3.スプーンに付いた上皮細胞をスライドグラスに取る。
4.十分に乾燥させる。(軽く火であぶって乾かすと良い)
5.メチレンブルーで染色する
(1)乾燥した上皮細胞の端にメチレンブルーを1〜2滴たらす。
(2)スライドグラスを傾け、染色液がまんべんなく行渡るようにする。
(3)2〜3分、染色する
6.水で洗う
(1)スライドグラスを傾け、メチレンブルーを流し落とす。
(2)スライドグラスの上皮細胞の上流側にスポイトで水を数滴たらす。
(3)メチレンブルーが流れ落ちたら、余分な水をふき取る。
7.水を1滴たらす
8.カバーグラスを掛ける。
9.検鏡する
です。
上のようにして、作成した口腔粘膜上皮細胞を観察したのが右の写真です。
撮影データは
対物レンズ Olympus Achx40
接眼レンズ 無
アダプター長 65mm
カメラ Pentax *istD(ISO 200、SS 1/25 )
撮影倍率 0.120μm/pix 65.180倍 です。
この写真は私自身のものです。細胞の中心部分にあって、メチレンブルーで青く染まっているのが細胞核です。細胞自身の大きさは100μm弱で、細胞核の大きさは卵形で11x7μmです。 画像をクリックするとより大きな画像を見ることができます。
ところで。口腔上皮細胞など多くの細胞はほとんど無色透明です。もし、このような無色透明な細胞などの試料を生きたまま観察しようとすればどうなるでしょう?
そこで、この口腔上皮細胞を染色しないで観察するとどうなるでしょう?右の写真は上の染色作業を行わず、グリセリンゼリーで封入したものですが、水で封入しても同様です。
撮影データは
対物レンズ FlPLL40
接眼レンズ FK3.3
アダプター長 125mm
カメラ Pentax *istD(ISO 200、SS 1/20 )
撮影倍率 0.0562μm/pix 135倍
です。
上のメチレンブルーで染色した写真に比べるとコントラストが非常に悪いことが判ります。細胞の大きさは、50μm程度で、中央に一応、核らしきものが確認できます。
画像をクリックするとより大きな画像を見ることができます。
上の写真のように生きたままの細胞等の試料を観察すると通常の方法ではコントラストが悪く試料の確認でさえままなりません。そのようなときには位相差顕微鏡を使用します。位相差顕微鏡については位相差法による顕微鏡観察をご覧ください。
右の写真は、上の染色していない無色透明の口腔上皮細胞をそのまま位相差顕鏡したものです。
撮影データは上と同じで、位相差にしただけで、
対物レンズ FlPLL40
接眼レンズ FK3.3
アダプター長 125mm
カメラ Pentax *istD(ISO 200、SS 1/13 )
撮影倍率 0.0562μm/pix 135倍
です。
上の写真に比べるとコントラストが非常によくなっています。細胞核もわかりますし、細胞の形状もはっきりとわかります。
画像をクリックするとより大きな画像を見ることができます。
右の写真は別の口腔上皮細胞を位相差顕鏡したものです。こちらは、細胞の周りに幾つかの内容物を確認することができます。
撮影データは
対物レンズ FlPLL40
接眼レンズ FK3.3
アダプター長 125mm
カメラ Pentax *istD(ISO 200、SS 1/13 )
撮影倍率 0.0562μm/pix 135倍
です。画像をクリックするとより大きな画像を見ることができます。