【科学のつまみ食い】

プレパラートを作って観察しよう

by I-satto@07/06/24

 顕微鏡でいろいろなものを観察する最も手っ取り早い方法として市販の永久プレパラート を永久プレパラートを観察しようで紹介していますが、ここでは、動物、植物、微生物、 その他色々な試料のプレパラートの作り方を紹介します。簡単な方法もたくさんありますので、実際にやってみてください。

プレパラートを作って観察しよう

グリセリンゼリー 花粉の観察 口腔上皮細胞 葉の横断面
(ミクロトーム)
水中微生物
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グリセリンゼリー

 

【グリセリンゼリー】

 普通プレパラートを作るときは、一時プレパラートは、水やグリセリンを使用して試料をスライドグラスとカバーグラスの間に封入します。また、永久プレパラートの場合はカナダバルサムなどを非水溶性(水に溶けない)の樹脂製の用材を使用して試料を封入します。しかし、このプレパラートを作ろうでは多くのプレパラートをグリセリンゼリーを使用して封入しています。その理由は、

 水やグリセリンの場合は長く保存できない

 カナダバルサムは非水溶性(水に溶けない)なので脱水などの多くの前処理が必要で煩雑

だからです。

その点、グリセリンゼリーは
 試料を比較的長く封入できる

 水溶性なので脱水などの前処理が不要で簡単

という大きな利点があります。しかし、

 腐りやすい

 熱で溶かす必要があるため封入操作が煩雑

等の欠点もあります。ゼリーは細菌やカビなどの培地として使用されるほど腐りやすいので、一般的に液状フェノール(劇薬)を混入することによって長期保存できるようにします。しかし、液状フェノール(劇薬)劇薬なのであまり使いたくありませんし、購入も難しいかもしれません。代わり に入手しやすいヨードチンキイソジン等の消毒液をぜるのが良いかも知れません。また、そのような薬品を使用しない場合は冷蔵庫や冷凍庫に保管する必要があります。

 

【グリセリンゼリーの作り方】 

1.用意するもの

 粉末ゼラチン5g、水(精製水)30cc、グリセリン40cc、液状フェノール0.5cc(ヨードチンキ1cc)

ゼラチンとヨードチンキ精製水フェノール(劇薬)

 計量する方法が無ければ、右の写真のようにフィルムケースを使用すると良いです。フィルムケースの蓋が嵌るくぼみまで入れると、ほぼ30ccです。水をフィルムケース一杯分、グリセリンをフィルムケース1.5杯を準備します。ヨードチンキの場合は1cc程度、これは適当でよいですが、小さじ半分程度で十分です。 液状フェノールの場合は0.5ccですが、液状フェノールは劇薬ですので、きちんと計量しましょう。

2.40℃以上に湯煎して暖めた水30ccに粉末ゼラチン5gを入れよくかき混ぜる。

 かき混ぜるときに泡が立たないように注意 します.泡が立つと気泡が入ってしまいます。 また、ゼラチンを入れるときは湯煎したお湯にゼラチンを入れること、逆にするとやっぱり、気泡が入りやすくなります。 この時、同時にグリセリンも湯煎しておきます。

 

3.暖かいうちにグリセリンと液状フェノールあるいはヨードチンキを混入してよく混ぜます。
 この時、染色液を同時に混ぜれば、染色液を含んだグリセリンゼリーができます。このような染色液を含んだグリセリンゼリーを使用すれば、封入と染色をほぼ同時に行うことができます。
 

4.フィルムケースなどの密閉できる容器に入れて冷やす。

フィルムケースに入れたグリセリンゼリー

上の写真は、ヨードチンキを防腐剤として使用したグリセリンゼリーで、左から、染色液無、ゲンチアナバイオレットグリセリンゼリー、メチレンブルーグリセリンゼリーです.ちなみに、右のの写真はフェノールを防腐剤として使用したグリセリンゼリーです。 数週間使用してヨードチンキ使用のグリセリンゼリーが腐敗しないか否か確認するつもりです。

 

 

【グリセリンゼリーの使用方法】 

1.用意するもの

 スライドガラス、カバーグラス、試料、加熱器(ホットプレート等)、グリセリンゼリー  

2.通常の方法で試料を固定、染色等をします。

 例えば、水やグリセリンで封入し観察した後のプレパラートを使用しても良いです。要は水溶性のもので処理してあればよく、水に溶けないもの例えばキシレン等で処理したものは使用できません。

3.プレパラート上の試料の水分を少し乾かす。

 完全に乾かすと収縮してしまうものもありますので、水溶液から取り出したもの端からろ紙で水分を吸い取る程度でよいです。

4.グリセリンゼリーを2x2x2mm程度試料の上に載せる。

 グリセリンゼリーの量は試料の厚さによって加減します。 試料が厚いとグリセリンゼリーを多く必要とします。  

5.ホットプレートでスライドグラスを暖める。

 試料とグリセリンゼリーを載せたまま暖めます。スライドグラスを直接ライターで暖めても良いですが、やけどに注意がひつようです。

6.グリセリンゼリーが少し溶けたら加熱をやめる

 ちょっと溶ければあとは余熱で十分溶けます。  

6.グリセリンゼリーが完全に溶けるまで待つ。

 余熱で溶かして完全に溶けるまで待ちます。 溶けてないうちにカバーグラスを掛けると気泡が入ります。

7.カバーグラスを掛ける。  

 通常、水やグリセリンで封入する場合と同様にいったんカバーグラスの端をスライドグラスに付けてそっとカバーがクラスを掛けます。

8.冷やす

 積極的に冷やす必要は無いですが、スライドグラスが暖かいので 涼しい場所で保管すると早く固まります。  

9.カバーグラスの周りをカナダバルサムで封入

キシレンカナダバルサム グリセリンゼリーが完全に固まったら、筆にカナダバルサムを付けてカバーグラスの周りをなぞるようにして周りをで封入します。グリセリンゼリーは涼しいところでは数時間で固まりますが、私は2〜3日放置してからカナダバルサムで封じています。 こうすれば、グリセリンゼリー中の水分が蒸発するのを防げますし、腐敗を遅延させることもできます。 カナダバルサムは緩めのほうが使いやすいので、固い場合はキシレン等で薄めます。カナダバルサムが無ければマニュキアなどでも良いと思います。

 

 


 

【グリセリンゼリープレパラートのの再利用】 

 このようにして作成したグリセリンゼリーのプレパラートはカナダバルサムで周りを封入しない限り、簡単に再生が可能です。グリセリンゼリーは40度以上で溶解しますし、水溶性なので、お湯に簡単に解けます。私は、右の写真のようにお湯に入れてしばらく放置し、カバーグラスが外れたら、お湯を交換し、さらに放置して、最後にティッシュなどでふき取っています。大量にプレパラートを作った場合やうまくできなくても、カナダバルサムで周りを封入さえしていなければ、このように簡単にグリセリンゼリーを溶かして、スライドグラスとカバーグラスを再利用しています。

 

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