【科学のつまみ食い】

流星の写真を撮ろう


by I-satto@04/03/13


 1998年は獅子座流星群(流星雨)が見られるのではないかと何かと話題になりましたね。その話題につられて流星を見てみようとか写真を撮ってみようと思った方は結構いらっしゃるうのではないでしょうか?そういう私も釣られて写真撮影を試みた一人ですが....今年1999年も獅子座流星群が再度流星雨として見られる可能性がありますので、再度試みてみても良いかもしれません。ただし、流星の写真を撮るのは意外と難しいです(^^;;

【流星って?】
 流星とか流れ星というのは、宇宙から大気に突入してきた塵で、突入すると高温になり、夜なら地上100kmくらいの高さで燃えて輝きます。地上まで落ちてくるものは隕石と呼ばれます。隕石としては今年(1999年)に日本で家の屋根を突き破って落下したのが話題になりましたね。ところで、流星群と言うのは、この流星の一種で、普通、1年のうちのある特定の時期に、空のほぼ一定の方角から放射状に現れる流星の群のことで、その方角を輻射点と呼び、その方角にある星座の名前がつけられます。しし座流星群と言うのはしし座の方向に輻射点があることから、そう名づけられています。末尾に表を掲載しますが、有名なものは、毎年決まったころに、決まった方向から現れます。一般に彗星が噴出するガスや彗星が壊れたときの名残の塵やガスで、その軌道の上にまきちらした物質が元になることから、流星群には、その母彗星の名前で呼ばれることもあります。流星雨というのは、短じかい時間の間に多くの流星が雨のように現れることを言います。地球が流星群に出合うときに良く見られます。 


【流星の写真を撮ろう

【準備するもの】
  準備するものは、日食の写真を撮影しよう彗星の写真を撮影しようで準備したものとほぼ同じです。
  (画像をクリックすると拡大されます)

カメラ PENTAX SP2 一眼レフカメラに望遠レンズを付ける必要があります。B(バルブ)やTで長時間露光できるものが望ましいです。最低数秒から数十秒の露光時間が必要です。ここでは旭光学社製の一眼レフカメラを使用しました。
使用したカメラ:旭光学 PENTAX SP
レンズ SMC 28mm 望遠レンズは必要ありません。どちらかと言えば、明るい広角レンズが良いでしょう。彗星や、日食、他の星々と違って何時何処から現れるか判りません。従って、できる限り広い範囲をカバーでき、しかも明るい広角レンズが必要です。
使用したレンズ:旭光学 SMC28mm
三脚 三脚 レリーズ 三脚は必須です。ここでは簡単なミニ三脚を使いました。長時間露光には三脚は必要不可欠なのでぜひ用意しましょう。
レリーズ 三脚と同じで必ず必要です、手でシャッターを数十秒も押しっぱなしと言うわけにはいきません。
フィルム フィルム そして大切なのがフィルムです。高感度フィルムを用意しましょう。今回はISO1600の富士のカラーフィルムを使用しました。
使用したフィルム:Fuji HG ISO1600


【流星の撮影】
カメラ さて、撮影です。右の写真は日中に撮影したものですが、写真のようにカメラを三脚に立て方向を定めて固定します。方向は輻射点方向かその近辺が良いでしょう。あとは、適当なときにシャッターを切りましょう。露光時間は10分程度が良いと思います。何時何処に出てくるか判らない流星を撮るのは、ほとんど行き当たりばったりです。撮影できなくても仕方がないと思いましょう。露光時間の間に流星が撮影できたと思えば、次の写真撮影に入りましょう。



【撮影した獅子座流星群(?)の写真】
 さて、1998年に撮影したときは火球を見ることができたのですが、残念ながら、その火球は私のカメラのレンズが向いていない方向でした。何枚か撮影したうちのたった一つだけ弱々しい流星が撮影できたので、それを紹介してます。

【撮影したしし座流星の写真】
獅子座流星群  さて、左の写真がそれですが、何処に写っているか全くわかりませんね(; ;)。そこで左の写真をダブルクリックしてください.中央部だけを拡大した写真が出てきます。赤丸で囲んだ部分です。非常に薄いですが、やっと撮れた流星です。1998年の獅子座流星群では流星雨とはいきませんでしたが、11月17日の明け方には火球が目撃されました。残念ながら、タイミングや方向を逃し私は成功にはいたりませんでした。さて、今年1999年獅子座流星群はどうでしょう? 

 では、どうしてこのように微かな写真しか撮れなかったのでしょうか?

それは、写真の感度があまり良くないからです。例えば、今回使用したISO1600のフィルムを使用し焦点距離28mm、F3.5のレンズでは天の赤道(最も星の動きが速い0度のところ)上の星を撮るのに1秒間の露出時間で6等星まで撮影できます。目視で星を見た場合に普通の人が見られる最も暗い星が6等星くらいですから、目で見える程度の明るさの星を撮影できます.。では、彗星の場合はどうでしょうか?彗星の場合は、通常の星(恒星)がゆっくりとした日周運動(360度/日=15度/時=0.25度/分=0.0042度/秒)をしているのに比べて、流星はあっという間に流れて消えてしまいます。そこで、どのくらいの明るさの流星を撮影できるかを計算してみましょう。彗星の写真を撮影しようで述べた方法で28mmのレンズの画角を計算すると約75.4度になります。今回の流星の写真の場合は画角として2度くらいの軌跡を描いていますので、この画角を例えば1秒で流星が通過したとします。この時、彗星は2度/秒の速度で画角を横切ることになります。日周運動をしている恒星にくらべて、速度は480倍程度ですから、彗星が写真に写される場合の明るさは逆に1/480になります。従って、このF3.5、焦点距離28mm、ISO1600の組み合わせで撮影できる流星の明るさは0等級となります。このように、流星を写真撮影するときには明るい流星でないと写らないのが現状です。もし、F1.2くらいの明るいレンズが使用できると、1等星くらいの流星を撮影する区とが可能になります。更に、画角の狭い、F1.2、焦点距離50mmのレンズを使用すれば、2等星くらいの流星が写せます。このように、流星の写真撮影では明るいものしか写らないところが難しいのです。

【主な流星群
 主な流星群について判る範囲で掲載します。流星観測や写真撮影などにオ役立て下さい。

流星群名 出現期間 出現数
しぶんぎ 1月上旬
こと 4月下旬
おとめ 3月下旬〜4月上旬
みずがめη 5月上旬
みずがめδ 7月下旬〜8月上旬
やぎα 7月下旬〜8月中旬
ペルセウス 8月上旬〜中旬
はくちょう 8月上旬〜下旬
オリオン 10月中旬〜下旬
おうし 10月下旬〜11月下旬
ふたご 12月中旬
こぐま 12月下旬
ジャコビニ 10月上旬〜中旬 母天体が接近する時期
しし 11月中旬 母天体が接近する時期
うしかい 6月下旬〜7月上旬
アンドロメダ 11月上旬〜11月下旬
くじらο 5月上旬〜6月上旬
おひつじ 5月下旬〜7月上旬
ペルセウスξ 5月下旬〜7月上旬
おうしβ 6月上旬〜7月上旬
 

この表の参考文献:cover


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