【科学のつまみ食い】

彗星の写真を撮ろう

by I-satto@14 June, 1999


 1995年7月23日 に Alan Hale と Thomas Bopp によって発見された彗星はヘールボップ彗星と名づけられ、1997年4月には最大光度に達し、肉眼でも良く見えるため、その年の天文ファンを沸かせました。書く言う私も、素人ながら彗星の写真を撮ってみようと言う気にさせられ、1997年3月下旬の明け方に撮影を試みました。このくらい大きな彗星(最大光度3等)になると、肉眼でも良く見え、カメラに望遠レンズを装着しただけでも撮影が可能でした。勿論、高感度カラーフィルムは使用しましたが赤道儀などでの追尾はしなくても撮影可能でした。但し、詳細な記録が残っていないので、あまり詳しくは書けませんが、素人の至らなさと笑ってやってください(^^ゞ

【彗星って?】
 斑点や星雲、あるいは太陽の反対側に尾を持つ太陽系内の天体で、日本ではほうき星とも呼ばれている。太陽熱の影響で、ガスや細かい塵を噴出し、たいていの彗星は楕円軌道を描きます。
【ヘールボップ彗星って?】
 冒頭に書いた様に 1995年7月23日 に Alan Hale と Thomas Bopp によって発見され、当時の軌道周期は4000年と考えられていましたが、木星の摂動を受け2400年になったそうです。最大光度は1997年4月1日に光度3等になりました。

【彗星の写真を撮ろう
さて、では彗星の写真を撮ってみましょう。

【準備するもの】
  準備するものは、日食の写真を撮影しようで準備したものとほぼ同じです。
  (画像をクリックすると拡大されます)

カメラ PENTAX SP2 一眼レフカメラに望遠レンズを付ける必要があります。B(バルブ)やTで長時間露光できるものが望ましいです。最低数秒から数十秒の露光時間が必要です。ここでは旭光学社製の一眼レフカメラを使用しました。
使用したカメラ:旭光学 PENTAX SP
レンズ SMC 135mm + MC4 望遠レンズは必須です。今回のように大きな彗星の場合には広角レンズで撮影することも可能かもしれません。
使用したレンズ:旭光学 SMC135mm + MC4 (2X TELEPLUS)
三脚 三脚 レリーズ 三脚は必須です。ここでは簡単なミニ三脚を使いました。長時間露光には三脚は必要不可欠なのでぜひ用意しましょう。
レリーズ 三脚と同じで必ず必要です、手でシャッターを数十秒も押しっぱなしと言うわけにはいきません。
フィルム フィルム そして大切なのがフィルムです。高感度フィルムを用意しましょう。今回はISO1600の富士のカラーフィルムを使用しました。
使用したフィルム:Fuji HG ISO1600


【彗星の撮影】
カメラ さて、撮影です。右の写真は日中に撮影したものですが、写真のようにカメラを三脚に立て方向を定めて固定します。あとは、適当なときにシャッターを切りましょう。露光は1秒〜30秒程度までいくつか分けて撮影しましょう。どの程度の明るさが適当か、なかなか判断がつかないものです。あまり長い露光時間を取ると、彗星を追尾しているわけではないので星が流れてしまいます。私が撮影した時に露光データその他を記録したのですが、その記録ノートを紛失してしまったので、詳細はわかりませんが数秒から十数秒だったように記憶しています。

【撮影したヘールボップ彗星の写真】
撮影したヘールボップ彗星の写真をここに掲載します。この写真は撮影したものそのままで、写真をクリックするとヘールボップ彗星のみトリミングしたものが現れます。簡単な方法で、しかも、素人でも結構良く撮れました。記録ノートを紛失したのがたまに傷ですねぇ(^^ゞ

【撮影した彗星の写真から何がわかる?】
ヘールボップ彗星  さて、左の写真の大きさは35mmフィルムの大きさそのものです。この大きさとレンズの焦点距離より彗星の大きさが推定できます。
 では推定してみましょう。35mmフィルムの大きさは24x36mmですので、その対角線の長さLは約43.3mmです。この時例えば焦点距離f=50mmレンズで作られる角度θは下の図のようにθ=2tan-1(L/2f)となります。従って、焦点距離50mmのレンズの場合には46.8度になります。今回は135mmの望遠レンズに2倍のテレプラスを使用しているので、焦点距離は135x2=270mmで、その場合の画角は約9.2度になります。これは、左の写真の対角線上の角度が9.2度であると言うことです。このことから、ヘールボップ彗星の画角が0.678度であることが計算されます。画角
 この写真を撮影した時の彗星の軌道は既に計算されていて、地球と太陽の距離(147x109m)の約1.4倍でしたから、206x109mになります。彗星の尾が地球に対して直角に向いているわけではないので正確ではありませんが、この時のヘールボップ彗星の尾の長さは、おおよそ2.06x1012tan0.678 m = 2.44x109mになります。これは、地球と太陽の距離の1/60の長さ、地球と月の距離(0.3844x108m)の約6.4倍の長さです。如何に尾が長いか良くわかりますね。



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