この右の表は2つの隣り合った画像間の落下距離と落下速度(画像間のボールの落下距離の差を画像間のの落下時間の差で割ったもの)、そして、その経過時間(画像間の平均時間)を記したものです。通常,学校の授業などで重力加速度を測定する場合に対応しますが、今回のビデオの撮影ではちょっと判りにくいかもしれません。もっと判りやすく図で説明しましょう。上の分解写真の0.5秒の時と0.6秒の時の2つの画像に注目してください。この2つの画像のボールの距離は51cmです。この51cm進むのに0.1秒かかっていますので、この時の平均速度は5.1m/sになります。この時の時刻は0.5秒と、0.6秒の間を取って0.55秒とします。このようにして、落下の平均速度とその時の経過時刻を求めて表にしたものが右の表なんです。これで判りましたか?(ちなみに、右の表は1/30間隔で表にしました。
下の図はこの表をグラフにしたもので、●が落下速度で■が測定された1/30秒の間に落下した距離です。これが最も直感的にわかりやすいグラフになります。この図から、落下速度(落下距離)は経過時間に比例することがわかります。この落下速度が単位時間(1秒間)増加する割合(グラフの傾き)が加速度と呼ばれるもので。この場合は重力加速度になります。このグラフに直線を引いて、その傾きを求めると9.78m/s2という値が得られます。これが重力加速度の測定値です。実際の値9.81m/s2と良く一致しています。こんな簡単な実験でも1%以下の精度で重力加速度が求められます(^^)
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さて、このことから、重力(g)によって速度(v)は時間(t)に比例して増えていく(v=gt)、そして、その増える割合は一秒間に9.78m/sの速度だけ増え,それを重力加速度といい、その値は9.78m/s2であることが判りました。ところで、上のグラフの■は、もともと、1/30秒間に落下した距離ですから、この棒グラフの和(棒を全部足した値)は落下し始めた最初の時刻(0秒)からの落下距離全体になります。要するに■の部分の面積が落下距離になります。そこで、全体の落下距離は、この■で区切られた三角の領域の面積です。従って、その面積を計算すれば、底辺(t)掛ける高さ(v)割る2が三角形の面積ですから、落下距離(h)はその時の落下速度(v)と時間(t)を掛けたものを2で
割った値に等しい(h=vt/2)という法則が判りました。
v=gt |
落下速度は重力加速度に落下時間を掛けた値に等しい |
h=vt/2 |
落下距離はその時の落下速度に落下時間を掛けて2で割った値に等しい |
h=gt2/2 |
落下距離は重力加速度に落下時間の2乗を掛けて2で割った値に等しい |
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落下距離
の差(cm) |
落下速度
(cm/s) |
経過時間
(s) |
2 |
60 |
0.0167 |
3 |
90 |
0.05 |
4 |
120 |
0.0833 |
5 |
150 |
0.1167 |
5 |
150 |
0.15 |
6 |
180 |
0.1833 |
8 |
240 |
0.2167 |
7 |
210 |
0.25 |
8 |
240 |
0.2833 |
10 |
300 |
0.3167 |
12 |
360 |
0.35 |
12 |
360 |
0.3833 |
14 |
420 |
0.4167 |
14 |
420 |
0.45 |
15 |
450 |
0.4833 |
15 |
450 |
0.5167 |
17 |
510 |
0.55 |
19 |
570 |
0.5833 |
20 |
600 |
0.6167 |
21 |
630 |
0.65 |
23 |
690 |
0.6833 |
24 |
720 |
0.7167 |
25 |
750 |
0.75 |
25 |
750 |
0.7833 |
28 |
840 |
0.8167 |
28 |
840 |
0.85 |
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