どうして水は100℃以上にならないの?
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by I-satto@02/10/03
2000年01月31日に小学校4年生の女の子からご質問を頂きました.。
どうして水はあたためても100℃以上にならないのですか。
鍋に水と100度以上計れる温度計を入れて温めていきます。家のガスコンロにかけて温めていくと温度がどんどん上がっていきます。この時、ガスコンロで温めたエネルギーは水の温度を上げるために使われます。しかし、100度になるとそれ以上あがりませんね。このとき、「水を温めつづけるときに出る泡は?」で説明したように、水の底から泡が出てきます。この泡は、説明の通り、水蒸気です。水は100度で水(液体)から水蒸気(気体)に変わります。この液体から気体に変わるときには温度を上げるためにではなく、水を水蒸気に変えるためにガスコンロの熱が使われます。このように液体から気体あるいは固体から液体など、状態が変わるときには温度が変わらずにその状態を変化させるために熱というエネルギーが使用されるので、温度が上がらなくなります。水が全部水蒸気に変わったあとは、今度はその水蒸気の温度が上がっていきます。
さて、では、どういう仕組みでこのようになっていくかを簡単に説明しますね。
温度と物(物質)の関係を氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)を通じて考えてみます。氷も水も水蒸気も実はもともと同じ物で温度が違うために状態が異なっているだけです。水や氷を細かくしていくとH2O(エッチ・ツー・オー)と呼ばれる水分子になります。この1個の水分子(H2O)が水や氷や水蒸気の最も小さな物(単位)だと考えてください。
【氷から水へ】
では、まず、冷蔵庫の中や冬の北極や南極にいる状態を考えてみます。ここに氷があります。この氷の温度は0度以下です。とりあえず、−10度としておきましょう。 氷は堅いですね(冷たいのは置いておきましょう)氷のように堅いものを一般に固体と呼びますが、この固体の状態の水(氷)というのは先ほど述べた1個1個の水分子の全てが非常に強く結びついている状態です。【そうですね。たくさんの友達と手をつないでいる状態ですね。】ですから非常に堅いのです。ところがこれに熱を加えて温度を上げていくと、それぞれの水分子が熱のために揺さぶられます(振動します)。【友達と手をつないでいたのですが、地震がきてゆすられてる状態です。】
どんどん熱を加えていくと今度はその分子と分子の強いつながりが切れてきます。【つないでいた手が所々で切れていく状態です。】この時、氷は氷水になります。水と氷が混ざった状態で、この氷水は氷がなくなってすべて水になるまで温度が0度です。そうです。ここでは氷が水に変わるために熱というエネルギーが使われて、氷の温度を上げないで0度になったままです。
【水から水蒸気へ】
さて、十分熱を加えて、氷がすべて水になるとまた温度が上がり始めます。この時。水は液体ですが、液体とは水の分子が緩やかに結合している状態で、くっついたりはなれたり、数個まとまったり、している状態と考えてください。【地震が強くなって友達と手をつなぎたいのですが、つなげることができたり、できなくて離れてしまったりしている状態ですね。】
さて、またまた、ガスコンロの上で温度を上げていきます。そうすると水は0度からどんどん温度が上がっていきます。このときは水の分子は温度が上がるにつれ、結合がだんだん緩やかになってきます。そして100度に達すると水分子は、分子同士が結合することができなくなって、蒸発していきます。【地震が更に強くなって、手をつなぐことができなくなる状態です。】この時、氷から水になるのと同じように、水から水蒸気になるために熱というエネルギーが使われつづけるのです。ですから、全てが水蒸気になるまで水の温度は100度です。
水蒸気になった水は温度が100度以上に上がっていきますが、温度が100度以上である限り、結びつくことはできません。【地震が強すぎて手をつなげないのです。】
このように、固体(氷)→液体(水)→気体(水蒸気)と物質(物)の状態が変わるときには、エネルギーが余計に必要なので温度は上がらないのです。このときの温度を融点(固体が液体になる温度)、沸点(液体が気体になる温度)と呼び、そのときに必要なエネルギーをそれぞれ、融解熱、気化熱と言います。これは、中学生になったら習うでしょう。
【でも、本当は100度以上になる水もある!?】
ところが、実は、100度以上でも水になっている場合がありますし、100度以下でも水蒸気のままでいることもあります.ここから先は少し難しいですが、そういうこともあると理解してください。
私たちが普通いる場所(1気圧)では水は100度で沸騰する。
上に述べたような理由で、氷が水になり、水が水蒸気になります。これは判りましたね。
空気が薄いところ(圧力の低いところ)では100度にならなくても水は沸騰する。
山に登ったことがありますか?山に登ってお湯を沸かすと水は100度にはなりません。90度とか95度とか100度にならない状態で沸騰します。山でご飯を炊いてもおいしくないといわれるのはその為です。では、なぜ山では100度にならないのでしょうか? 山に登ると何が違うのでしょう? 山の上では息が苦しくなったりするでしょう。そうです。山の上は空気が薄いのですね。空気が薄さや濃さを気圧と言います。天気予報で聞いたことがあると思いますが、低気圧は気圧の低いところ、高気圧は気圧の高いところです。この気圧によって水の沸騰する温度などが異なるのです。先ほど書いたように山の上で気圧が低いので水は100度にならなくても沸騰します。空気がどんど薄くなって、真空に近いところでは、10度とか20度とかで水が沸騰する場合もあります。
空気の濃いところ(圧力の高いとこと)では100度になっても水は沸騰しない。
今度は逆に圧力の高いところでは100度でも水は水蒸気にならないのです。例えば発電所では石油を燃やしたり、原子力で水を沸かしてタービンを回していますが、この中では圧力が高いので、水は100度になっても沸騰しません。また、圧力鍋も密閉して温度を上げるために中の圧力が高くなり、ご飯がおいしくたけたりするのです。このように、圧力の高いところでは水は100度でも沸騰しません。