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by I-satto@06/04/13
2000年7月9日に小学3年生の女の子のお母さまからご質問を頂きました.。
かなり前になりましたが、「簡易ビュレット」の作り方を教えていただいた、牧と申します。
その節は、本当にありがとうございました。今、「簡易ビュレット」で子供と実験を行っております。
まだ結果をご報告するまでにはいたっておりませんが、まとまりましたら、お礼方々ご報告したいと思っております。
さて、また一つ教えていただきたいことができました。図々しいと思いつつ、お許しをいただいて、お答えをいただければ、大変幸甚に存じます。
最近、スーパーで、面白いもの(おもちゃ・ファンシーグッズ)を見かけました。
透明のプラスティックに、「水と油」らしきものが入っていて、その境にアヒルが浮かんでいるというものです。
教えていただきたいのは、「水と油」らしきものの正体は何かということです。
普通の水と油だと、よく振ると、一応混ざりますね。
ところが、このおもちゃでは、全く混ざりません。(少しの間「油」の中に「水」の粒ができますが、すぐ元に戻ります。)
或いは、昔、観光地で、水槽に「色つきの水?」と「油?」が入っていて、ゆっくり揺れるとまるで、海の波みたいになる「おもちゃ」が見たことがありましたが、それも全く混ざる様子はありませんでしたが、その中身は(同じものだと思うのですが)何なんでしょうか?
かなり分離する力の強い何かなのでしょうが、わかりません。
教えていただけると幸いです。
こんにちは、ご質問ありがとうございます。
さて、水と油のようなものの正体ですが、そのもの自体に何が使われているかは残念ながらわかりません。これは、メーカーに聞いて見なければわからないでしょう。(もし、実際に二つの液体に何が使用されているかご存知の方がいらっしゃったらメールをください。E-mail:普通の水と油の場合(多分食用のサラダ油だとおもいますが)はよく振ると混じるとおっしゃっていますが、時間を置けば分離しますよね。ですから、正確には水と食用油も混じることは無いのです。ただし、洗剤のように界面活性剤を入れると、油は水に混じって溶け込んでしまいます。
もっと正確にいうと、水への溶解度(溶解のしやすさ)は物質によって異なります。塩や砂糖、片栗粉などが水に溶けるときに溶けやすさが違うのと同じように、液体同士でもその溶けやすさ(混じりやすさ)が異なります。その理由は種々ありますが、塩(NaCl)が溶ける場合のように水によりイオン(Na+とCl-)に分解されてしまうことによるイオン性の溶解(電解質溶液)と酸素が水に溶け込むように酸素が水中でも酸素として存在する非イオン性のものとがあります。イオン性の溶液中では溶解した溶質は陽イオンと陰イオンとに解離していますが、非イオン性の溶液中では溶質は,分子の状態かまたは分子が二つ以上集まった会合分子の状態で存在しています。
さて、溶解しないという場合には、油は水の中に入ったときにイオン化しない(イオン化しにくい)、更に、分子状態でも交じり合わないので強く会合分子で結びついていると考えられます。
ところで、おっしゃっている玩具の場合はですが、なかなか混じらないということですので、それぞれの2種類の液体は少なくとも一方は粘性の高く、強い会合力で結びついて会合コロイドを作っていると考えられます。例えば、ひまし油などは水の粘性の700倍もありますから、ほとんど混じることは無いでしょう。
さて、ご質問に的確に答えられませんでしたが、機会があれば調べてみたいと思います。いちばん簡単なのは、その玩具の製造元に問い合わせることではないでしょうか?
ところで、この玩具に似たものを食用油と、水と、醤油入れ(弁当などについている)で作ってみました。ビンに水と油を半々に入れ、水を入れた醤油入れをその中に沈めます。ちょうど、水に浮き食用油に沈む位置に、この醤油入れがきます。ひまし油があれば、ひまし油を使用してみるのもよいでしょう。