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by I-satto@03/06/10
2002年8月15日に 中学3年生の女の子からご質問を頂きました.。
夏休みの自由研究のために、科学のつまみ食いのページを見ました。それで、重力を
測定しよう。の実験が面白そうだったし、中3ですので、ちょうどいいかな。と思って、それを研究することにしたんです。
早速今日、実験したんですけど、データのまとめ方がよく分かりませんでした。どう やって計算すればいいのですか。教えてください。ちなみに私は、ボールの直径18
cm、高さ約5mで実験しました。この計算がクリアできれば、とっても面白い実験 なので、これを提出したいのですが。なるべく早めに(出来れば16日まで。。。)分
かりやすくお返事ください。
夏休みの自由研究で重力の測定をやってみたということですね。参考にされたのは「科学のつまみ食い」のホームページの「重力を測定しよう」ですね。測定方法の詳細は、この「重力を測定しよう」をご覧になればわかると思いますので、それ以外のところで、ご説明しましょう。
実験は既にやられたということで、
高さ 500cm (5m) のところから、
直径 18cm のボールを落下させ、
ビデオ撮影したということで、よろしいですね。
ここで、重要なのは、ビデオの画像(データ)からいろいろなことを計算することです。ここでは、「科学のつまみ食い」の「重力を測定しよう」の補足としてより具体的に説明します。
「重力を測定しよう」基礎編【データを整理しよう】(ボールが落ちるのをコマ送りで見よう)
に書かれているようにTV画面で、ボールの落下をTVでコマ送り再生をします。
できれば、ビデオ画像をパソコンに取り込んで、画像データをそのまま使用するのが一番ですが、ここでは、パソコンでビデオ画像が取り込めないとします。その場合は、ビデオをテレビに映して作業することになります。
準備するもの、ビニールテープと定規
1.TV画面でコマ送りでビデオを再生する。
2.落下直前の一番最初の画面を静止画(ポーズ)で見る。
3.ボールの上端にビニールテープでTV画面に印をつけます。
4.TV画面でボールの直径を測定する。 L cm とします。
5.一コマ進めます。 通常 1/30秒 です。
6.先ほどビニールテープで印をつけた位置から
ボールの上端までの距離を測ります。 A cm とします。
7.先ほどのテープをはがして、改めてボールの上端にテープを貼ります。
8.一こま進めます。 通常 2/30秒 です。
9.6と同様にテープの位置からの距離を測ります。 B cm とします。
これを、ビデオの終わりまで繰り返して行きます。
これで、測定の基礎データができました。
今、実際のボールの直径は18cmでしたから、TV画面上で測定したボールの大きさLcmは実際には18cmにあたります。従って、ボールの落下した距離AやBcmは実際には、その比率で大きくなるはずです。
L cm が 18cmですから、
TV画面上の 1cm は 18/L cmになるはずです。
どういうことかというと、例えば、TV画面上でボールの大きさが1cmであれば、TV画面上の1cmは18cmです。TV画面上2cmならば、36cmになります。
従って、
TV画面上のボールの大きさが L cm なら、
TV画面上の1cmは 18/L cm
TV画面上の2cmは 36/L cm = 2x18/L cm
TV画面上の Acmは Ax18/L cm
TV画面上の Bcmは Bx18/L cm
: :
となります。
こうやって、TV画面上の長さから、実際の距離を測定できます。
まず、これをそのまま、時刻(時間)と距離の表とグラフにして見ましょう。ほぼ直線になりましたか?なっていなければ、どこか間違っています。
さて、これをそのままグラフにすれば、
「科学のつまみ食い」基礎編【データを整理しよう】(落下速度と経過時間) とほぼ同じ結果になるはずです。但し、こうやって測定した距離A,B,...cmはそれぞれ、1/30秒間に進んだ距離です。本当は1秒間に進んだ距離を基準にしなければなりません。そこで、先ほど作成した表で距離、A,B...
をそれぞれ、ビデオの間隔の時間1/30秒で割ってやります。すると、
TV画面上の Acmは Ax18/L x30cm/秒
TV画面上の Bcmは Bx18/L x30cm/秒
: :
とそれぞれ、速度(1秒間に進んだ距離)になります。では、改めて時刻(時間)と速度(1秒間に進んだ距離)の表とグラフにして見ましょう。
これで、「科学のつまみ食い」基礎編【データを整理しよう】(落下速度と経過時間)まで、完成です。
さて、今度は、このグラフから重力加速度を求めます。加速度とは、速度が増える割合ですね。グラフが、ほぼ直線になったら、思い切って、直線を引いてしまいましょう。
この直線は時刻(時間)0秒のところで、落下速度(1秒間に進んだ距離)が0cm/秒になってますか?もし、なっていれば、この直線のどこでも良いですから、経過時間 t秒と落下速度vcm/秒を読み取ってください。
例えば、0.5秒のところで、490cm/秒だったとします。
そうすると、0.5秒で490cm/秒の速度が増えるので、重力加速度は
490cm/秒 割る 0.5秒 で計算できて
980cm/秒
となるはずです。
さて、さっきの直線が時刻(時間)0秒のところで、落下速度(1秒間に進んだ距離)が0cm/秒になっていない場合、今度は、この直線のどこでも良いですから、2点で経過時間 t秒と落下速度vを読み取ります。
例えば、0.1秒のところで、98cm/秒で、0.5秒のところで、490cm/秒だったとします。そうすると、0.4秒(0.5秒−0.1秒)で392cm/秒(490cm/秒−98cm/秒)の速度が増えるので、重力加速度は
392cm/秒(490cm/秒−98cm/秒) 割る 0.4秒(0.5秒−0.1秒) で計算できて
980cm/秒
となるはずです。
このようにして、ビデオ画像から重力が測定できます。その後のデータの整理の仕方は、「重力を測定しよう」を参考にしてください。
ところで、「重力を測定しよう」で書いていない、比較実験をやってみても面白いですね。比較実験とは何でしょう?実験方法を変えて、同じ測定をやってみることです。例えば、以下のようなものがあります。
1.落下させるボールの大きさや重さを変えてみる。
2.落下させる高さを変えてみる。
3.振り子で重力を測定してみる。
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いろいろあると思います。自分で工夫して実験してみるのは楽しいものです。ぜひ、やってみてください。