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by I-satto@02/10/03
2000年2月21日に中学3年生の男の子からご質問を頂きました.。
どうして重力がおきるのですか?
それと、重力の大きさは何と関係があるのでしょうか?
中学3年生ですと加速度の実験は申しましたか?そのときに重力加速度が9.8m/sになることを習いましたね。「科学のつまみ食い」のホームページでも重力加速度をビデオとボールを利用して測定しましたが、やはり9.8m/sになっていますね。
では、どうして重力が起きるのでしょう?
「どうして重力が起きるか」というのは難しい質問です。もともと自然界にあった法則なのです。宇宙の決まりごとといってもいいでしょう。ですから、どうして重力があるかという答えは無いのです。しかし、重力がどのような力なのかは解明されています。
ところで、「質量(重さ)のある物体(もの)は全て引き合う力」を持っています。この引き合う力を引力と呼び、この引き合う性質を「万有引力の法則」と言います。この万有引力である「質量をもったものは全て引き合う力」を地球に当てはめた場合に「重力」と呼ばれます。正確には地球は回転しているので自転による遠心力を受けたりしますし、地球は完全な球ではないですし、内部も均一ではないので、場所によって大きさが異なります。「重力」と「引力」はにていますが、地球に限った話を「重力」と呼び、「質量をもった物体が互いに引き合う力」を「万有引力」ということを覚えて置いてください。ところで、この万有引力を世界で最初に発見したのは、イギリスのニュートンであることはご存知ですよね。ニュートンがりんごが木から落ちるのを見て、引力を発見したというのは有名な話です。
実は重力(万有引力)はアインシュタインの一般相対性理論で、完全に定式化されました。アインシュタインはニュートンの万有引力の法則を非常に一般的に拡張し、宇宙全体に適用できるような法則に仕上げたのです。一般相対性理論は興味があれば、大学に入ってから勉強できますし、ここでは複雑すぎて説明が困難ですので(というか、私も完全には理解できていないので(^^;;)、簡単に説明しますと、重力を時間と空間のひずみであらわし、それにより重力場の大きさによって時空が曲がるため、時間の遅れや空間のひずみが生じるという理論です。
ここでは、一般相対性理論お話は抜きですすめます。
では、重力の大きさは何と関係があるのでしょう?
重力は学校の理科の授業で習ったと思いますが、
F=mg (重力の法則)
ですね。重力による力は重力加速度(g)にその物体の質量をかけたものです。従って、この式からは重力加速度(g)は何処でも、何時でも一定で9.8m/sです。しかし、これは地球があまりにも大きくて重いためと、地球上で測る距離が地球の半径(6378km)に比べてあまりにも小さいためです。重力の法則は地球に限ったものというお話は上に書きました。物と物など、質量のある物体に対して、もっと広く正確には万有引力の法則を使います。万有引力の法則は高校生になると詳しく勉強すると思いますが、次のようにかけます。
F=GMm/r2 (万有引力の法則)
です。その大きさは質量(Mとm)の積に比例し距離(r)の二乗に反比例し、その比例定数は万有引力定数といわれ、その大きさは6.672x10-11m3kg-1s-2で、Gであらわされます。
ところで、この重力の法則の式と万有引力の法則の式を比べてみましょう。この二つの式で違うところは、gとGM/r-2
ですね。ではこのとGM/r-2に値を入れていきましょう。
rには地球の半径を入れて、r=6378000m
Mには地球の質量を入れて、M=5.974x1024 kg
Gは万有引力定数ですから、G=6.672x10-11m3kg-1s-2
ですから、
GM/r2=9.798m/s2
となり、ほぼ、9.8m/s2となって、重力加速度と大体一致しますね。
ということで、重力が万有引力から説明できることがわかりましたか?また、重力はその星(地球)の重さと大きさ(半径)によることも判りますね。ですから、重力は月や火星に行くと小さくなり、人が飛んだり跳ねたりできるのです。
このように、地球の重力は、地球の質量と、その半径によります。6400kmもある半径の中で、1mとか10mとか落下しても、誤差のうちで、万有引力の法則を使用しなくても重力加速度を用いれば済むことが判りますね。