【科学のつまみ食い】

ぼくとはかるの夏休み  自由研究レポート

ぼくとはかるの夏休み(放射線を計ってみよう)

 

by I-satto@06/04/22

【放射線】
 

 放射線ってご存知ですか?
 放射線っていうのは、難しく言うと原子核の反応とともに出てくる電磁波や粒子線のことで、電磁波としてはγ線が放出されますが、これは光の一種です。
 電磁波はその波長(電磁波のエネルギー、光の場合だと色)が長い方から短いほうに向かって、
  ラジオやテレビの電波
  コタツなどから出る赤外線
  通常目に見える可視光()
  日焼けする紫外線
  胃や肺の検査に使用されるX線
  原子核から出るγ線

があります。
粒子線としては
  α線(Heの原子核)
  β線(電子線)
  中性子線

などが核反応にともない放出されます。
この様な放射線を放出する能力を持つ物質を放射能といいます。放射線と放射能を混同される方が多いですが、これは別物ですのでお間違えないように...
 放射線計測協会では、「はかるくん」という放射線(γ線)計測器を貸し出して、夏休みの自由研究などを募集しています。
 これを使って夏休みの自由研究を行い、放射線についての理解を深めるのは良いことではないでしょうか?
 ここで、ちょっと難しいですが、放射線関係の話をしておきます。
 放射線というと、多くの方が怖いというイメージをお持ちだと思います。日本は唯一の被曝国として広島、長崎の被曝被害者は数多くいらっしゃいます。また、極最近のでは、1999年に起こったJCOの臨界事故では被曝された方がなくなっています。そこで、放射線被曝の人的影響についてまとめてみました。

 まず、被曝による急性の影響がどのようになるか、JCO事故との比較でまとめてみました。

放射線量(mSv) 影響
0.05  原子力発電所周辺の線量目標
1.00  一般人の線量限度
2.40  日本人が自然界から1年間に受ける被曝量
5.00  職業人の線量限度
150  JCOの事故現場から80m地点に20時間滞在した場合の被曝量
250  臨床症状はありません。
500  全身に浴びると白血球の一時的減少が起こる
1000  全身に浴びると吐き気や倦怠感をもよおします
1200-2500  JCO事故の横川さんの推定被曝量 免疫低下
3000  皮膚に浴びると脱毛が起こります
5000  永久不妊、皮膚に浴びると赤く腫れます
6000-10000  JCO事故の篠原さんの推定被曝量 手、足、顔面、首にやけど
7000  全身に浴びると死亡します
8000  皮膚に浴びるとケロイド症状が見られます
10000  皮膚に浴びると腫瘍ができます
16000-20000  JCO事故の大内さんの推定被曝量 死亡

 通常、自然界から受ける被曝線量は年間2.4mSvといわれ、その内訳は以下のようになります。

項目 被曝線量(mSv)
食物 0.35
空気中 1.3
宇宙線 0.35
大地 0.4
自然界合計 2.4

 このうち食物から受ける放射線は0.35mSvあります。これは食物に含まれる40K(カリウム40)等の放射性同位体元素(Radio Isotop = RI)の摂取によるものが大部分です。K自身は人間にとって必要なもので、食物から摂取しますが、このKの中で放射線を放出する放射性物質の40K全Kの内0.017%を占めます。個人差はありますが、日本人の平均では最初に述べたように年間0.35mSvになります。食物1kgあたりの40K放射能(単位Bq(ベクレル)とそのKで被曝する量(単位mSv)をまとめてみました。

食物 放射能(Bq/kg) 被曝量(mSv)
30 0.0027
パン 30 0.0027
果物 120 0.011
海草 230 0.021
100 0.009
野菜 100 0.009

ちなみに、胸部レントゲン撮影では0.1mSvの被曝があります。

 また、空気中にはRn(ラドン)が存在し、それを呼吸と共に吸い込みますRnの空気中の存在比は場所によって異なりますが、このラドンによる被曝はおよそ1.3mSvといわれています。日本人は放射線や放射能を怖がるのにラジウム温泉やラドン温泉はありがたがりますね。
 宇宙からは一次宇宙線といわれる高速の陽子(p)が降りそそいでいます。この一次宇宙線は、地球の大気に突入し、空気中の酸素(O2)窒素(N2)などの原子核と衝突して二次宇宙線として、高エネルギーの中間子や電子線、γ線等を発生します。この一次宇宙線と二次宇宙線による被曝は高度や緯度によって異なります。例えば、ジェット機などに乗ると放射線の被曝量は極端に高くなりますが、日本では平均して年間0.3mSv程度です。
    1時間あたりの高度による被曝量の違いをまとめてみました。

項目 標高(m) 放射線量(μSv)
海面    0 0.09
日本の山 2000 0.1
世界の山 4000 0.2
ジェット機 10000 5

 例えば、日本から米国まで旅行すると往復で0.1mSvの被曝をすることになります。

 地面を作り上げている岩石や土には、食物のところで述べた40Kやその他に、核燃料となるU(ウラン)や核原料のTh(トリウム)等の自然放射性物質が少量ですが、含まれています。これらの自然放射性物質による被曝量は地域によって異なりますが、日本では平均して年間約0.34mSv程度です。日本国内でもその土壌や岩盤等の違いから地域差があります。地域による1年間に受ける被曝量の違いをまとめてみました。

地域 放射線量(mSv)
北海道 <0.99
東北北部 <0.99
東北南部 1.00〜.109
関東 <0.99
北陸 1.00〜.109
中部 1.00〜.109
関西北部 >1.1
関西南部 1.00〜.109
中国 1.00〜.109
四国 >1.1
九州北部 >1.1
九州南部 1.00〜.109

最後に放射線や放射能は、その単位が特殊でわからないという方が多いと思います。そこで、放射線に関する単位について解説します。

ベクレル Bq  放射能の壊変強度を表すSI単位で、簡単にいうと、どれだけの放射線が出ているかという放射能の単位です。1Bqは放射性核種が1秒間に1回の割合で崩壊する時の放射能をあらわしています。ウランの放射能を発見したフランスの物理学者Antoine‐Henri Becquerelにちなんでつけられました、。放射線の電離作用とか蛍光作用などの研究を行い、、原子物理学の発展に寄与しました。
キュリー Ci  こちらもBqと同じ放射能の壊変強度を表す単位です。一秒間の崩壊数が3.7×10^10Bqである場合の放射能を1Ciといいます。もともとは、ラジウムを発見したフランスの物理学者キュリー夫妻にちなんでつけらたもので、ラジウム1gの放射能を1Ciとした単位です。現在はCiではなく、Bqが一般的に使われます
シーベルト Sv  線量当量のSI単位で、実際に人体へどのくらいの影響があるかを示す実効線量当量といわれる単位です。実はこの線量当量というのが非常に難しいのです。同じ放射線の吸収線量でも放射線の種類によって生物体への影響が異なるので、放射線ごとに定められた線質係数という値を吸収線量に掛けて表した量で、実質的に生物に影響を与える放射線量の大きさとして使用されています。放射線防護の分野で用いられる単位です。
レム rem  roentgen equivalent manの略で線量当量の古い単位です。1rem = 0.01Svです。放射線防護関係にのみ使用される暫定的単位として用いられてきました。
グレイ Gy  吸収線量とよばれ、物質の単位質量当たりに吸収される放射線のエネルギーの量をあらわしたもので、物質によって異なります。この量が大きいからといって人体への影響が大きいとは限らず、先に述べた線量当量Svの値で人体への影響を計ります。
ラド rad  radiation absorbed doseの略で吸収線量の古い単位です。放射線に照射された物質が吸収する線量で、1radは質量1kg当たり0.01Jのエネルギーを吸収するときの量をあらわします。1rad = 0.01Gyにあたります。
C/kg  照射線量で、実際にどれだけの放射線があたったかということをあらわす単位です。X線やγ線の強度を表す量として用いられます。単位質量あたりの空気が電離される電気量で定義される物理量です。
レントゲン R  X線やγ線の照射線量の古い単位です。一気圧、摂氏0度の空気1kgに放射線を照射したときに2.58×10-4Cの正または負のイオンを作るような放射線の電離作用の強さで、ドイツの物理4学者で未知放射線を発見しX線と命名したWilhelm Konrad Rentgenにちなんでつけられました。


    

 はかるくんは右の写真のようにかなり小型で、子供でも簡単に取り扱うことができます。ここでは、2004年の夏、当時、小学5年生の長男が写真にあるようなはかるくん という放射線測定器を使って行った自由研究を紹介します。このはかるくんは放射線計測協会で貸し出していますので、皆さんも借りてみてはいかがでしょうか?
 なお、私のポリシーで、自由研究についての方向性や何をやったらよいかは特に指示はしていません。今回長男はパソコンを使用してデータ整理やレポート作成を行ったようです。
 


 

 

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