ぼくとはかるの夏休み(放射線を計ってみよう)
【放射線】
放射線ってご存知ですか? 放射線っていうのは、難しく言うと原子核の反応とともに出てくる電磁波や粒子線のことで、電磁波としてはγ線が放出されますが、これは光の一種です。 電磁波はその波長(電磁波のエネルギー、光の場合だと色)が長い方から短いほうに向かって、 ラジオやテレビの電波 コタツなどから出る赤外線 通常目に見える可視光(赤、黄、緑、青、紫) 日焼けする紫外線 胃や肺の検査に使用されるX線 原子核から出るγ線 があります。 粒子線としては α線(Heの原子核) β線(電子線) 中性子線 などが核反応にともない放出されます。 この様な放射線を放出する能力を持つ物質を放射能といいます。放射線と放射能を混同される方が多いですが、これは別物ですのでお間違えないように... 放射線計測協会では、「はかるくん」という放射線(γ線)計測器を貸し出して、夏休みの自由研究などを募集しています。 これを使って夏休みの自由研究を行い、放射線についての理解を深めるのは良いことではないでしょうか? |
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ここで、ちょっと難しいですが、放射線関係の話をしておきます。 放射線というと、多くの方が怖いというイメージをお持ちだと思います。日本は唯一の被曝国として広島、長崎の被曝被害者は数多くいらっしゃいます。また、極最近のでは、1999年に起こったJCOの臨界事故では被曝された方がなくなっています。そこで、放射線被曝の人的影響についてまとめてみました。 まず、被曝による急性の影響がどのようになるか、JCO事故との比較でまとめてみました。
通常、自然界から受ける被曝線量は年間2.4mSvといわれ、その内訳は以下のようになります。
このうち食物から受ける放射線は0.35mSvあります。これは食物に含まれる40K(カリウム40)等の放射性同位体元素(Radio Isotop = RI)の摂取によるものが大部分です。K自身は人間にとって必要なもので、食物から摂取しますが、このKの中で放射線を放出する放射性物質の40Kは全Kの内0.017%を占めます。個人差はありますが、日本人の平均では最初に述べたように年間0.35mSvになります。食物1kgあたりの40Kの放射能(単位Bq(ベクレル)とそのKで被曝する量(単位mSv)をまとめてみました。
ちなみに、胸部レントゲン撮影では0.1mSvの被曝があります。 また、空気中にはRn(ラドン)が存在し、それを呼吸と共に吸い込みます。Rnの空気中の存在比は場所によって異なりますが、このラドンによる被曝はおよそ1.3mSvといわれています。日本人は放射線や放射能を怖がるのにラジウム温泉やラドン温泉はありがたがりますね。
例えば、日本から米国まで旅行すると往復で0.1mSvの被曝をすることになります。 地面を作り上げている岩石や土には、食物のところで述べた40Kやその他に、核燃料となるU(ウラン)や核原料のTh(トリウム)等の自然放射性物質が少量ですが、含まれています。これらの自然放射性物質による被曝量は地域によって異なりますが、日本では平均して年間約0.34mSv程度です。日本国内でもその土壌や岩盤等の違いから地域差があります。地域による1年間に受ける被曝量の違いをまとめてみました。
最後に放射線や放射能は、その単位が特殊でわからないという方が多いと思います。そこで、放射線に関する単位について解説します。
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はかるくんは右の写真のようにかなり小型で、子供でも簡単に取り扱うことができます。ここでは、2004年の夏、当時、小学5年生の長男が写真にあるようなはかるくん
という放射線測定器を使って行った自由研究を紹介します。このはかるくんは放射線計測協会で貸し出していますので、皆さんも借りてみてはいかがでしょうか? なお、私のポリシーで、自由研究についての方向性や何をやったらよいかは特に指示はしていません。今回長男はパソコンを使用してデータ整理やレポート作成を行ったようです。 |