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by I-satto@03/06/02
2000年7月28日に、小学5年生の男の子にご質問を頂きました.。
よく、風呂の水を抜くと排水溝にぐるぐる回って水が入って(流れて)いきますよね。同じような現象で、台風もできるらしいのですが、なぜ渦巻きができるのでしょうか?どういう力が働いているのですか?
すみませんが教えてください。よろしくお願いします。
小学校3年生の男の子のお父さんからも
小さい頃〔幼稚園〕からいつも聞かれていたことです。未だに一緒にお風呂に入ると、うれしそうに見ています。いつか、夏休みの自由研究にまとめたいと思っていましたが、私の勉強不足でなかなかできはませんでした。小学校3年生なりにこの夏休みにまとめられたら、と、思っています。
よろしくお願いします。
質問・・・・
お風呂の水ょいっぱいにし、みんなで一緒につかって湯船から水があふれ出るとき、
ひとつの小さな排水溝に流れていきます。この時、円を描くようにクルクル回って流れていくのが、なぜか?
と、言うのです。
石鹸の泡などが一緒に流れていくと、大喜びなのです。また、北半球と南半球では、円の回り方が違うときいたこともあります。ほんとうなのでしょうか?
また、夏休みの自由研究の題材にしたいのですが、・・・
簡単な実験などでわかりやすく説明できればいいのですが・・
どのようにしたらいいでしょうか?
よい、アドバイスをお願いいたします。
小学2年生の男の子からもご質問をいただきました。
お風呂の栓を抜きお風呂の水が少なくなってくると渦巻きが出来ますが、どうしてですか
コリオリの力というのをご存知でしょうか?
コリオリの力とは難しくいうと慣性系に対して回転する座標系において現れる慣性力のうち、物体の速度に関係してはたらく力で、座標系の回転軸に垂直な面内で、速度に垂直な方向には働きます。
結論から先に言えば、地球上の北半球では、地球の自転に基づくコリオリの力が、運動方向に向かって右向きにはたらきます。南半球では逆に左向きに働きます。
地球を例に簡単に説明して見ましょう。下の図を見てください。
上の図のように地球の北極に立ち,地球と共に回転しているとします。そして ある時刻に
地球の外にある特定の方向に物を発射します。この物は真っ直ぐ飛びつづけるはずですが、その間に地球は回転しているので発射した人は地球の自転分だけ回転して違う方向を向きます。もしも地球が自転していることを知らなかったなら、当然
、この投げた物に何か別な力(図の赤い矢印)が働いてその方向を変えたと考えてしまうでしょう?この見かけ上の力をコリオリの力と呼びます。
もっと簡単にいってしまえば、地球の自転の影響によって、地球上の運動している物に見かけ上働いて見える力です。これは自転によるので、北半球と南半球では異なり、北半球では運動方向の右方向に、南半球では左方向に働きます。この力は運動の方向を変えるだけで、速さを変えることは有りません。
さて、このコリオリの力は実際にどのように働くのでしょう?
まず、お風呂の水のような水の流れを考えます。われわれの住んでいる、北半球ではコリオリの力は進行方向の右側に働きます。中心へ向かってる水の流れは右へ右へと引っ張られるので中心から右方向へずれていきます。右方向へずれた水の流れがまた、中心へと引っ張られます。この繰り返しで、左回りの渦ができます。ですから、最初、水が真っ直ぐ進んでいって排水溝などに流れていても右へ右へと引っ張られるので、次第に水の流れが中心から右方向にずれて中心へ向かうため左回りの渦が出来上がります。このようにして、お風呂の水を抜くときには左回りの渦ができます。
次に空気を考えましょう。例えば、台風の場合、これも水の場合と同じで、気圧の低い中心へ向かっていくので、風の向きは右へそれ、結局、左回りの渦が出来上がります。低気圧も同じように左回りです。逆に高気圧の場合は気圧の高い中心から噴出します。噴出した風は右方向へ引っ張らますので、次第に右にそれて噴出します。そこで、右回りの外向きの風が吹きます。
このように、自然界でできる渦はコリオリの力によるものです。ちなみに、コリオリの力は、物体の速度をV、地球の自転の角速度をω、地球の緯度をφとした場合に
2Vωsinφ
であらわされます。従って緯度φ=0の赤道ではコリオリの力は働かず、緯度が北半球と逆の南半球では逆向きの力が働きます。また、速度が速くなればなるほど、コリオリの力も強くなります。 このよぅに、地球の自転によるコリオリの力は地球の上を飛ぶあらゆる物に作用します。上で示した、低気圧や高気圧の回転方向もそうですが、低気圧や高気圧自身の運動にも影響を与えます(北半球では右のほうへ、南半球では左のほうへずれます。)。また、海流にも同じように影響を与えています。また、有名なフーコー振子の振動面が回転する というのも地球の自転によるコリオリの力を受けるためです。
では、実際にお風呂の水を抜くときの渦は左回りにできるでしょうか?
これは、左回りになるときも右回りになるときもあるのです。実際にはコリオリの力は「コリオリの力の実験方法は?」で書いているように非常に小さな力です。お風呂の水が抜けるときの渦の回転の力としては小さすぎるのです。では、どうして、渦ができるのでしょう?まず渦の回転の方向は最初に加わる力の向きによります。右回りの力が加われば、右回りの渦が、左回りの力が最初に加われば、左回りの渦ができます。最初に水が流れ出したときの状態によってしまうのです。しかし、渦ができたほうが渦ができないよりも流れがスムーズになります。これは、水が出るときに出口の先にある空気の逃げ場がなくなるため、水の流れに渦ができて中心部から空気が水と逆方向に流れ出たほうが、スムーズに水が流れ出るためです。