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by I-satto@04/02/19
2003年08月24日に小学校6年生の熊本県の女の子からご質問を頂きました.。
自由研究でお風呂の鏡がくっきり見える実験をしました。
その結果・・・
石鹸水を使うとくもりを止める事ができました。界面活性剤の働きで
膜ができて、くもらないと言うことですが界面活性剤は、どんなものでできているのでしょうか?教えてください。
夏休みもあと1週間ですね。お風呂の鏡が曇らないで見える方法ですが、おっしゃるとおり、石鹸には界面活性剤が入っています。
難しくいうと
気体や、液体、固体の界面に集まりやすく、少しの量で界面張力を小さくする作用をもつ物質のことを、界面活性剤といいます。
界面とは物質の境界に当たる面で、
界面張力とは界面にある分子が、接触している二つの相のうちのどちらかの相の方向に引きつけられて、界面を収縮させようと作用する力で、液体の場合は表面張力とも呼ばれます。
相とは例えば水の場合を例に取ると、氷、水、、水蒸気等、気相(体)と液相(体)、固相(体)などのことを言います。
もうちょっと簡単に言えば、
界面活性剤は、少しの量で、物質の境界の面に作用する収縮させる力を弱める作用を持つ物質です。
もっと簡単に言うと、
例えば、水滴は丸いですが、これは表面張力によって、水滴の内側に引っ張る力が働いて、水滴を丸くしていますが、この水滴を丸くする内側に引っ張る力を弱めるのが界面活性剤です。この内側に引っ張る力を弱めると、水滴は丸くならず、広がってしまいます。
さて、実験した石鹸水は水よりも界面張力が小さいのです。これは石鹸の分子の中にある疎水基と親水基のため、石鹸の分子が水の境界の面に吸着(くっつき)され、界面を広げようとする作用がはたらいて、界面張力を弱めます。この石鹸水によって界面に働く力が弱まるため、水滴が丸くならず、広がって、鏡の表面に均一に広がるため、流れ落ちてしまったり、曇りを生じないようにしたりします。
疎水基とは水との親和性が小さいため、水にあまり影響を与えない物質です。
親水基とは水との親和性が大きいため、水に強く影響を及ぼす物質です。
ところで、実験に使われた石鹸の中の界面活性剤は具体的にどういう物質かといいいますと、上に書いたように疎水基と親水基からなるわけですが、この組み合わせは非常に多くて、お話の石鹸というだけでは、その種類も多い上に、石鹸を作っている原料のうち、微少成分はほとんど公表されていないために、残念ながら特定できません。昔の石鹸は牛脂,ヤシ油,魚油硬化油などの動植物性油脂を原料としていますし、最近の石鹸はアルキルベンゼンスルホン酸塩,ポリエチレンオキシド誘導体等が原料として使われています。そもそも、石鹸を含めた洗剤は界面活性剤の力を利用して、汚れを落としているので、多くの界面活性剤が研究・開発されています。
このように、石鹸に限らず、洗剤一般が界面活性剤なので、曇りを止めるためには、石鹸以外の洗剤も利用可能です。その他の洗剤を利用して、曇り止めの効果がどの程度違うか?石鹸や洗剤の濃度によってどのくらい変るか?など、色々お風呂度実験してみるのも良いかもしれませんね。