【科学のつまみ食い】  
発芽に明るさが必要だろうか?

 

by I-satto@03/10/15

2000年5月26日に 小学5年生の女の子からご質問を頂きました.。

発芽に、明るさは必要だろうか?という実験で、暗い方がよく育ちました。それは、どうしてですか?



 ご質問の
発芽はどちらかというと発芽後の成長のようです。
 
発芽という場合には種子から芽が出ることを言い、その後の成長のことはささないのが普通です。ちなみに、花粉から花粉管というのが伸びることや胞子が成長することなども発芽と呼びます。

 まず、
発芽と光の関係はどういうものでしょうか?
 植物の生長が周りの環境に大きく影響されるとの同じように、
発芽も周囲の環境によって大きく影響を受けますが、通常は適当な水分適当な温度のほかに光の有無ばかりではなく、光の波長(赤い光とか青い光とか)が発芽に与える影響が大きい場合があります。光の有無でいえば 光発芽種子暗発芽種子があります。
 
光発芽種子種子が水を吸った状態で一定時間光にあたった後で無いと発芽しない種子で、タバコレタスなどが光発芽種子です。
 
暗発芽種子光があたっていると発芽が起こりにくくなる種子ハゲイトウカボチャが暗発芽種子です。
 このように、種子や球根等の発芽には光があったっていると芽が出なかったり、逆に光があたらないと芽が出なかったりするものがあります。また、上の例とは異なり、
光とは無関係に芽を出すものもたくさんあります。たとえば、はつか大根なんかはそうです。
 ですから発芽に関していえば、
暗いほうが発芽するとは一概に言えず、それぞれの植物によって理由はさまざまあると考えられます。仕組みとしては、種子に光があたったり、あたらなかったりすることにより生長素や酵素等の量が変わると考えれています。芽が出たり(発芽)茎が伸びたり(生長)するときに必要な生長素の量は植物や生長の段階、葉や茎などの場所によって異なり、多すぎても少なすぎても生長の速度が異なります

 では、
発芽後の成長と光の関係はどういうものでしょうか?
 発芽のところで書いたように、植物の生長は周りの環境に大きく左右されます。
発芽後の成長もまったく同様で、環境に大きく左右されます。光があたるところと、あたらないところでは生長の速度が異なります。これも上に述べた生長素や酵素の量によりますが、一般的に光があたらないと生長が大きくなります。そのため、日(光)のあたらないところで育てると一般的に生長が早くなり、おっしゃるように暗いほうがよく育ちます。これはもやし(もやしは暗いところで育てます)がひょろ長くなるのと同じです。しかし、暗いところで育てると長さは長くなりますが、これは水分による水ぶくれのようなもので、明るさ以外は同じ条件で育てた植物を乾燥させて重さを量ると、暗いところで育てた植物は明るいところで育てた植物に比べて、軽いことがわかると思います。
 また、
植物が光のあたるほうを向くことなども、この生長素の影響で日陰の部分の生長が速いためと考えられます。
 このように光があたるところとあたらないところでは生長の速度が異なるのです。

 
土の中に埋まった種子などが発芽した場合、光にあたって植物に必要な栄養を作る(光合成をする)ためにはどうしたらよいでしょうか?
 そうです。
速く土から出なければなりません。そのために植物は光のあたらないところでは生長の速度が速くなると考えられます。また、この光合成をするためには日光(光)に良くあたらなければなりません。そのために葉を光のほうに向けなければなりません。そのためにも生長素の働きは重要になります。

 このように植物の生長の速度は生長素の量によって決まり、生長素ができる量は光の量によって異なっています。

 最後に、
生長と成長の違いを書いておきます。
成長人や動植物が育って、大きくなることです。
生長人や動植物の器官や細胞の形態的。量的に育って大きくなることです。






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