【科学のつまみ食い】  
地球は本当に自転をしているの?

 

by I-satto@03/06/22

2000年5月15日に カナダ在住の38才の女性からご質問を頂きました.。

 最近、宇宙の事に興味をもちだし、インターネットで 調べてたら、こちらのサイトに出会いました。

 学生の時にまじめに勉強してなかったので、 こちらのホームページの解説は無知な私にも、 とてもわかりやすく、うれしいです。

 そこで、おバカな質問ですが、何かで、地球の自転の 早さは466m/s(赤道での。)と、聞きました。 それってすっごく早いですよね?  なんぼ、重力があるからと言っても、 人間は、よく振り回されずに立ってられるな〜と思いました。

 でも、たまに見ることがある、人口衛生から見た地球の映像とか、 最近の宇宙系の映画を見てても、地球が  とてもそんなに早く回転してるようには見えないと思う、 と言うか、静止してるように思うんですけど、 実際はどうなんでしょうか?

 お忙しい事と思いますが、いつか、お時間があるときにでも、 お返事をいただけないでしょうか?


 エイコ様 、ご質問ありがとうございます。学生の頃まじめに勉強しなかったのは私も一緒です。ですから、今でも勉強です(^^;;  カナダから「科学のつまみ食い」をご覧になっているとはうれしい限りです。

  実は、質問が多すぎて、現在質問コーナーは一時閉鎖中なのです(^^;;が、比較的簡単にお答えできるので、お持ちになっている疑問にお答えしま しょう。

 さて、地球は一日で一回転しています。ということは、1日x24時間x60分x60秒 =
86400秒です。一方、地球の赤道半径rは約6378000mです。 ということは、地球の赤道上の1周(2πr)は2xπx6378000m=40074156mになります。これを先の時間で割ってやると速度vは463.8m/sになりますね。さて、この速さは音速331m/sよりもはるかに 速いです。
 ということは、
コンコルドと同じ速さで動いていることになります。では、人間に音が追いつけない? 地球の自転方向には音は伝わらない!?
  いえいえ、そんなことはありませんよね。実際は、コンコルドと同じ速さで動いているわけではないし、人間に音が追いつけなかったり、地球の自転方向に音が伝わらなかったりすることはありませんね。実際、
地球は一定速度で回転しているので、地球上のものは人を含めて 全て地球の速さと同じ速さで回転しているために、その速さを 実感することはありません。
 これは、電車や飛行機に乗っていても、
ゆれ(速度の変化=加速度)を感じること はあっても、速度(速さ))自体を感じることがないのと同じです。 上で述べたように、地球上のもの全てが空気を含めてこの速度で動いていますので、実際にこの速さを 感じることはありません。
  
 次に、人が
振り落とされないかという点ですが、上にも書きましたように地球は一 定速度で回転しているので、回転j方向には力は働きません。回転と垂直方向(空の 方向ですね)には、遠心力が働きます。これは重力に反発する力です。

 では、この遠心力を計算してみましょう。遠心力は、そのものの質量をmとする と、その回転の角速度をωとし、半径をrとすれば、
遠心力はmrω2であらわさ れます。一方、重力はmgですから、重力に対する遠心力の比はrω2/gで表されま す。
 さて、これを計算してみましょう。
 各速度は1周を2πとした時に1秒間にどのくらい動くかということですから、2 π/86400となります。
 従って、先の比は 
  
637800x2π/86400x2π/86400/9.8=0.00034
 となり、重力に対して非常に微々たる物になります。
 
 ということで、地上では重力が強すぎて、遠心力を感じることはできないことがわ かります。但し、もともと遠心力を含めて重力としていますから、人間には感じないですけど。。。
地球の自転速度にむらがあって、遠心力が変化したとしても、もともと遠心力が重力全体に比べて小さいから、人間には感じ取れないといったほうが正しいかもしれません。

 ところで、遠心力と重力がつりあうのはどの辺でしょうか?
  これは半径rを求める問題ですから、先とは逆に
 mrω2=mg
 
r=g/ω2=9.8/2πx86400/2πx86400=185万3000Km
 となりそうですが、実は違います。この場合は、もうちょとっと複雑です。
重力は
遠くなればなるほど小さく
なりますから、その効果を入れなければなりません。従っ
て、万有引力の法則から考える必要があります。
「月の裏に月がある?」が参考になります。


そうすると、  
 
mrω2=mMG/r2
でMは地球の質量Gは重力定数です。
 
r3=MG/ω2
となり、
 
r=4万2千km
 程度になります。
これは地上(6400km)からみると、約3万6千kmになります。

地上の重力で考えた場合(前者)と、万有引力で考えた場合(後者)では、かなり 違ってきますね。

では、
どうしたら地球が回転(自転)していることがわかるのでしょう?
地球の中にいると、地球の中のものは全て回転しています。地球の外の星は時間を追って回転していきますが、本当に地球が回転しているのでしょうか?ひょっとして外の宇宙が地球を中心に回っているのでは?
 これでは、
天動説に逆戻りです。地球が回っている地動説が正しいことは、皆さん知っているはずです。既に、天動説と地動説の決着はついているはずです。
 では、地球上にいて地球の自転を感じる方法はないのでしょうか?それは、コリオリの力です。コリオリの力によって地球上のものが自転方向に回転します。コリオリの力の詳細は「
お風呂の水を抜くときの渦は(コリオリの力) 」をご覧になってくださいね。

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