【科学のつまみ食い】  
宇宙で音は聞こえますか?

 

by I-satto@02/10/03

2000年4月21日に中学2年生の女の子よりご質問を戴きました。

私は吹奏楽部に入っているのですが、ホルンを吹いてます。それでおもったことですが、
宇宙ではやっぱり真空状態だから音って聞こえないんですか?

 


ご質問ありがとうございます。

 音を伝えるのには、音を伝える物質が必要です.音というのは物質の振動そのものです.例えば、普通、空気が音を伝えると考えますが、水も、岩石も、鉄も音を伝えます.身近にある良い例が糸電話でしょう.糸電話は空気の振動が紙コップの振動に伝わり、それが糸の振動になり、更に相手方の紙コップの振動になり、空気の振動となって耳に伝わり、鼓膜を振動させます.このように、色々と振動するものを伝わって伝達されるのが音であるといえます.

 では、宇宙では音を伝えることができるか?ということになりますが、真空状態である宇宙では音は伝わらないと考えられます.振動するものがありませんからね(^^;;

 通常、空気中の音速は0℃、1atm(気圧)で、331.5m/sで伝わります.音速は、空気の圧力(気圧)にはよらずほぼ一定で、温度が1℃上昇すると、0.6m/sだけ、音速が増加します。気体、液体。固体によって、音速度の性質は異なります.

以下に主な気体の0℃,1atm時の密度と、音速と音速の温度係数を紹介します.通常気体は温度が上昇すると音速も増加します。

気体

密度

音速度

音速度の温度係数

  Kg/m3 m/s m/s・℃

アンモニア

0.7710

415

0.73

一酸化炭素

1.2504

337

0.604

塩素

3.214

205.3

-

空気

1.2929

331.45

0.607

酸素

1.4290

317.2

0.57

水蒸気

0.5980

404.8

-

水素

0.08988

1269.5

2.00

窒素

1.25055

337

0.85

二酸化炭素

1.9769

258(低周波)
268.6(高周波)

0.87


以下に主な液体の密度と音速を紹介します. 液体の音速度はわずかの例外を除いて,1000〜1500m/sの間で,温度1℃上昇すると2〜5m/s減少するものが多いです。水の場合には音速は温度とともに増加して,74℃で最大になり、また音速度は小さくなっていきます。

液体

温度

密度

音速度

 

(×103)kg/m3

m/s

エチルアルコール

23-27

0.786

1207

クロロホルム

25

1.49

995

グリセリン

23-27

1.26

1986

水銀

23-27

13.6

1450

23-27

1.00

1500

海水

20

1.021

1513

ベンゼン

23-27

0.87

1295


以下に主な固体の縦波と、横波の速度を紹介します.固体の音速度は,同じ物質であっても,金属では結晶の状態や方向,ゴムなどでは混合物の割合や音の振動数によって大きく変化します。また、一般に音速は温度が上昇すると小さくなります。また、液体や気体と違って、縦波と呼ばれ、液体や気体の音の波と同じで、振動方向と振動の伝わる方向が同じである圧縮性の粗密波、いわゆる地震のときのP波と、横波と呼ばれる固体にだけ表れる振動の方向と波の進行方向とが垂直である波、いわゆる地震のS波があります。縦波と横波では、一般に横波の方が伝わる速さが遅いのも特徴です。

物質

密度

縦波の速度

横波の速度

 

(×103)kg/m3

m/s

m/s

アルミニウム

2.69

6420

3040

エボナイト

1.2

2500

-

黄銅

8.6

4700

2100

ガラス

2.42

5440

-

19.32

3240

1220

10.49

3650

1660

0.917

3230

1600

コンクリート

-

4250-5250

-

ステンレス

7.91

5790

3100

大理石

2.65

6100

2900

チタン

4.58

5990

2960

7.86

5950

3240

8.96

5010

2270

11.34

1960

690

ニッケル

8.90

6040

3000


以上が、音の大まかな性質です.


 

 

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