海の水はどうしてしょっぱいの?
1999年11月8日にたぶん、小さなお子さんだと思いますがご質問を頂きました.。
海はどうして、あんなにしょっぱいのですか?
海はどうしてしょっぱいのでしょう?
それは、海の水には塩が溶けているからです。海水浴に行ったとき体に白い粉がつきませんでしたか?あれは塩です。また、海の水を取ってきて皿に入れて乾かすと白く小さな塩の結晶がたくさんできることからも判りますね。海の水の塩の濃度はだいたい3%くらいです。水道水100ccに3gの塩を溶かした程度です。家で作って、海水となめ比べてみましょう。ちょっと味が違うと思います。海の水には塩(NaCl)のほかに、色々な塩分や金属、その他の原子や分子が溶けていますので、水道水に塩を溶かした場合と味が違うのです。これは、場所によっても違います。
さて、ではなぜ海の水に、塩やその他の塩分や色々なものが溶けているのでしょう?
海の水に溶けている色々な物質は、もともと陸地の岩や土、石の中にあったものなのです。陸地に降った雨は、石や土や岩の中にある水に溶けやすいものを溶かして、川に集まり、更に川の水は河川敷の石や岩や土の中にあるものを溶かしたり、削ったりして海に集まっていきます。このように、水に溶けやすいもの、削られやすいものが、雨、川と経てどんどん濃くなって最後には海に到達するのです。
そうすると、川の上流よりも下流のほうが塩は濃いのかな?上流から下流にいくに従って、だんだんとしょっぱくなるのかな?
だんだんとしょっぱくなっていくはずですが、人の舌ではなかなか判らないと思います。ところが、海が近づくと突然しょっぱくなります。それはなぜでしょう?
海の水は太陽の熱などで温められて蒸発します。しかし、海の水に溶けている水以外のもの、塩とかその他の塩分とか、金属とかは蒸発しないで海に残されていきます。そうして、蒸発した水は雨になって、また陸地から塩やその他の色々なものを運んでくるのです。こういう繰り返しは地球ができたころから約40億年も続いているのです。そうして、海の水はしょっぱくなったのです。
★更に詳しく正確に★
ところで、もう少し正確に書きます。
上の説明では、海から蒸発した水が雨になって、河になり、水に溶けやすいものを溶かして集まったと書きましたが、実は地球の成り立ちにも関係があります。昔の地球の水(雨)は今のように純粋な水ではなかったのです。
原始の地球、地球ができた40億年程前には実は地球は非常に熱かったのです。ですから、水は水蒸気となって地上ではなく、空気の中にありました。地球ができた頃の空気は今とは違うつくりで、その空気には水蒸気(H2O)や二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)や窒素(N2)の他に今の空気には含まれない塩化水素(HCl)等も含んでいました。この塩化水素というのは非常に強い酸で水に溶けると塩酸になります。この塩酸は様々な物質を溶かす性質があります。
さて、このような塩化水素を空気の中に持った地球はだんだん冷えていきます。そして、空気の温度が100℃よりも低くなると、水蒸気は水になります。このとき、塩化水素を溶かし込んで塩酸の雨となって振ってきます。酸性雨ですね。但し、今、公害で言われている酸性雨とは少し違います。今の酸性雨は石炭や石油が燃えることにより、石炭や石油に含まれるイオウ(S)や窒素(N)が燃えてイオウ酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)になり、それが雨に溶けたのが原因です。原始の地球に降った雨が塩酸の雨なら今の地球に降る雨は硫酸の雨とでも言いましょうか。
話がそれましたが、この塩酸の雨が地上に降り河となり、岩石や土の水ではなく、正確には塩酸に溶けやすいものを溶かして、低いところに集まり海となっていったのです。このとき、特に溶けやすいものとして岩石に含まれているナトリウム(Na)やマグネシウム(Mg)を大量に溶かしていきました。塩酸(HCl)にナトリウム(Na)やマグネシウム(Mg)を溶かすと、塩酸(HCl)の水素(H)が取れて水素ガス(H2)になって水から逃げていきます。塩酸(HCl))の塩素(Cl)はナトリウム(Na)やマグネシウム(Mg)と反応して塩になります。食塩は塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)はにがりの中に含まれる塩です。水はまた蒸発して空気中の塩化水素を溶かして雨になり、岩を溶かして海に流れるということを30億年ほどつづけました。このようにして強い酸性の雨や海はどんどん中和して今の中性の海になりました。約6億年位前にはほとんど中和し、今の塩辛い海が完成したといわれています。