レコードのステレオ再生の仕組み?
1999年9月30日にとある男性から質問を頂きました。
子供のころからの疑問なんですが、レコード針は一本なのにどうしてステレオで聞こえるのでしょうか。
【レコードって】
最近は音楽を聞くのにはCDとか、MDとか、DATとかデジタル再生されるものが主流ですね。アナログ再生できるものとしてはカセットテープがまだカーステレオその他で現役の座をかろうじて確保していますが、レコードはCDに置き換わってしまい、殆ど淘汰されてしまった状態で、一部のマニアだけがアナログレコードを使用している状態だと思います。そういう意味では、アナログレコードをご存知の方は少なくなってきているようです。
さて、レコードの始まりと言うとエジソンが1877年に発明したものが最初で、当時は現在(レコードに対して、現在と言うのは御幣がありますが…)のような円盤状の板ではなく、円筒状のドラムに溝を掘って音を記録するものでした。その後現在のような円盤状のものに改良され、蓄音機とされました。これは、プレスすることにより複製を簡単に作成できたので、瞬く間に商品として量産化されるようになりました。その後、この円盤状のものが、モノラルからステレオへと発展したのですが、まず、モノラルレコードの仕組みから説明しましょう。
【モノラルレコードの仕組み】
レコードは図のように円盤に円周に沿ってV字の溝が彫ってあります。その溝を上から良く見ると左右に振動する複雑な波形が記録dされています。レコードはレコード針がそのV字の溝をトレースし、溝に刻まれた左右への振動を拾い上げる(ピックアップする)ことにより、刻まれた音を取り出します。振動の周波数の変化(溝に刻まれた左右への振動の速さ)が音の波長の変化(高音や低音)を再現し、振動の振幅(溝に刻まれた左右への振動の幅)の変化が音の強弱を再現します。
【ステレオレコードの仕組み】
モノラル再生のときはV字の溝に振動を記録し、その振動数に音の高低を振幅に音の強弱を記録しました。しかし、ステレオ再生のためには左の音と右の音に対して、音の高低や強弱を記録しなければなりません。そこで、当初はレコード針を2本使用して、右と左別々に記録された音を再生すると言う、考え方は単純で、技術的には非常に難しい方法等が試みられました。その後、ひとつの溝に左右二つの音を記録する方法として、VL方式と言う左右の音を溝の左右の振動と上下の振動に分解して記録する方法と、45/45方式と言う左右の音を溝の左側と右側に分けて、しかも、溝にたいs手45度の方向に記録する方法が現れました。このとき、VL方式のプレーヤーではモノラルレコードを聞くと片方のチャンネルからしか音を聞くことができないのと、VL方式で録音されたステレオレコードを従来のモノラルレコードプレーヤーで再生するとこれもまた、片方のチャンネルの音しか聞けないという、モノラルレコードとの非互換性が問題となりました。それに比べ、45/45方式ですとモノラルレコードを聞く場合には左右から同じ信号を取ることができ、モノラルプレーヤーで45/45方式すってレオ再生する場合にもステレオの左右の音が合成されて、左右から同じ音を再生できるなどのモノラルレコードとの互換性が確保されていたために、この45/45方式が世界的に採用され、現在(もうすでに過去のものですが…)のステレオ再生の主流と主流となったわけです。ちなみに、VL方式でも45/45方式でも針が音を取り出すときは上下左右に触れる針の振動を磁石とコイルで電気信号として取り出します。このように上下左右複雑な動きを45度−45度に分解するのが45/45方式でモノラルとの互換性を取れるようにしたのですね。