カマキリの幼虫の越冬について?
1999年10月15日に小学校の先生からご質問を頂きました.。
ぜひ,教えていただきたいことがあります。教職4年目で,まだまだ未熟な私です。山の学校に今年から転勤になり,やっと,虫やとかげ,カナチョロを直視できるようになってきました。
現在,2年生の担任をしております。おととい,小学校の教室でかまきりの卵がふかしたのです。もう,おおさわぎ。春ごろにふかするのだとばかり思っていました。そこで,お聞きしたいことがあります。
@こんなことは,よくあることなのですか?
Aこの無数のちびっこかまきり達は,冬をこえていきることはできますか?
Bできるなら,どんなところで,どんな状態で生きるのですか?
Cここは豪雪地帯なのですが,かまきりの卵のつき具合(産み付けられる場所)で,その年の雪の量を予想できるそうですが,それは,本当ですか?
D他に,雪の量を予測する動植物の習性や言い伝えなどありましたら教えてください。
ぜひ,かまきり情報をください。楽しみに待っています。
この質問は1999年10月15日に頂いたのですが、メールマガジン「科学のつまみ食い」の読者から11/8にメールを頂きましたので.文末に紹介致します.
山の学校に転勤になり、昆虫や爬虫類、両生類など動物がいっぱいでしょう?ようやく直視できるようになったそうですが、これからは子供たちの手前、触ったり育てたりする必要が出てきそうですね.大変でしょうががんばってください。ちょうど私の息子も小学校2年生なので、その生徒さんたちの腕白振りが目に浮かぶようです.
さて、パニックの原因のカマキリの卵ですが.....
@通常かまきりは秋、9月から10月に卵を生み、オスもメスも死んでしまいます。その後、卵は春暖かくなる4月から5月にかけてふ化します。今回、教室でふ化してしまったのは、暖かいからだと思います.このかまきりの卵は子供たちが探してきて教室に持ち込んだのでしょうか?それとも教室に生みつけられたものでしょうか?豪雪地帯ということなので、秋田とか新潟などでしょうか?そうすると教室にはそろそろストーブが入る時期でしょうか?それとも、部屋を締め切って窓からの太陽光で教室が温かいのでしょうか?いずれにしても、外の寒いところにあれば、ふ化しなかったかまきりの卵が教室と言う暖かいところに置かれたためにふ化してしまったのでしょう.
ABかまきりの冬越えですが、冬越え自体ではなく、かまきりを育てることは、他の昆虫に比べて難しいのです。肉食性の昆虫、特にかまきりのような生きているものしか襲わない昆虫に餌を与えることが難しいです.特に、豪雪地帯で、冬には昆虫にお目にかかれないところでは生きた餌を与えることは困難でしょう.しかも、体の大きさにあわせて、小さな餌しか襲いませんから、なおさら難しいです。そこで、餌を与える方法として考えられるのは、ハムなどの動物性のものを糸などにぶら下げて、目の前で揺らしてやればかまきりは、餌と思い襲い掛かり食べると思います.また、虫かごではなく、プラスチックの昆虫容器に入れ、ペットショップなどで売っているショウジョウバエを買ってきて与えるのも良いかもしれません.冬の間餌を与える方法としてはこの方法しかないと思います。暖かくなれば、バッタやコオロギ等を捕まえてきて与えれば良いです.さて、餌以外にかまきりを育てる上での注意点として、なるべく大きな容器に少数のかまきりを入れることです。小さな容器に多くのかまきりを入れると、共食いをするでしょう。乱暴なことを書きますが、餌が調達できなければ共食いさせて、残った少数のかまきりを育てると言う手もあります。共食いさせないためには、一匹づつ別の容器に飼うのが良いです。子供たちに一匹づつ与えて、飼育させるのも面白いかもしれませんね。また、気温にも注意しましょう。できるだけ暖かいところ、真冬の教室でストーブなどが焚かれていないと全滅するでしょう.。これから寒くなりますので、夜は大変だと思います.
Cかまきりの卵が上のほうにあると大雪が降る。という言い伝えがありますね.この言い伝えが科学的根拠があるかどうかは不明ですが、かまきりは気候に対して敏感なので、雪を被ってしまうような低いところには卵を生まないようです.だいたいかまきりは低いところで30cmくらいから高いところでは3m位のところにまで卵を生みます.普通は1mから2mの間に集中しているようですが....
D雪にまつわることで知っているものを参考までに書いておきます.何れも本当かどうかはわかりませんが、それぞれもっともらしいとは思います.
かえるやへびが土の中浅いところで冬眠するとその年は小雪
イチョウの葉が全部落ちると雪が降る
つばきの蕾が葉より上につくとその年は小雪
冬に雷がなると雪が降る
等です.
ふ化してしまったカマキリの幼虫をを育てる方法として以下のようなメールを11月8日に科学のつまみ食いのメールマガジンの読者から頂きました。かなり参考になると思います。
カマキリの幼虫の越冬では、ショウジョウバエの飼育もあわせてやると餌の問題はクリアできます。また、動かないものを餌として与える場合は、最初は死んだ餌を動かして与え、死んだ餌を食べるようになったら、対象の餌を与えるとうまくいきます。保温も、ひよこ電球などを使った方がいいです。できれば簡易温室に保温をして、中に飼育容器を入れるといいです。
しかし相当に大変です。前にアマガエルを飼ってたときは、地獄のようでした。
カマキリは覚えてしまえば、動かないものでも食べるようになるのですね。これは知りませんでした。ということは、ハム等を.最初に動かして数日与え続ければ、あとは、糸にぶら下げておいておくだけでも大丈夫と言うことになりますね。ショウジョウバエについては上にも書きましたが、ペットショップで売られていますね。タランチェラ等の餌用に....飼育をあわせてやると言うことは、別容器にハエの食するものとショウジョウバエを一緒に入れて、時々、カマキリに与えるか、あるいは、カマキリと同じ容器内で育てることも可能かもしれませんね。しかし、ショウジョウバエくらい小さくないとカマキリの幼虫は食べないでしょうね。保温のほうは色々な方法があると思いますが、一般家庭ではコタツが適当だったりして(^^;;
アマガエルというかカエルも生きたものしか食さないので、カマキリと同じように大変でしょうね。生餌を与えるのは何にしても大変なものですね。
これを参考にして、カマキリの越冬に挑戦される方がいらっしゃるかもしれませんが、がんばってください。