【科学のつまみ食い】

オーロラは日本で見られるの?

 

by I-satto@02/10/03

1999年11月23日にカナダに留学している女子大生(?)からご質問を頂きました.。 

 私はカナダの大学で、英語を勉強しています。再来週にオーロラについて、プレゼンテーションをします。・・・もちろん英語で。そこで、オーロラについて、小学校3年生程度でも判るような、できるだけ判りやすく、説明してください。

  1. オーロラはなぜできるのか?

  2. 日本でも、見れるのか?

  3. うまく写真を撮る方法。etc・・・。

 それらについて、英語でかかれているweb siteがあったら、教えて下さい。お願いします。


ご質問ありがとうございます。オーロラについてですが、何処で興味を持たれたのでしょう?オーロラの写真はいたるところで紹介されていますが、私自身オーロラを見たことはありません。ぜひ私も見たいと思っています。ところで、オーロラについての説明はかなり難しくなってしまいますが、簡単な説明と詳しい説明の両方を書いておきましたので、参考にしてください.


さて、ご質問の

1.オーロラはなぜできるのか?
まずは簡単に説明しましょう。
オーロラは
太陽風といわれる太陽から吹きつける電気を帯びた粒が地球の磁気圏につかまってエネルギーを蓄積し、そこから電子地球の北極や南極の極地へ向かって突入し、空気にぶつかって発光するときに見られる現象です。

では、もうちょっと詳しく説明すると、

太陽はほとんどが水素(H)やヘリウム(He)などのガスからでき、その周りには皆既日食のときに良く見える100万度の高温に達するコロナがあります。このコロナの中は高温であるために水素の原子が、電子(-)と陽子(+)に分裂して存在しています。このように、プラスのイオン(陽子)とマイナスの電子が混合している状態をプラズマと言います。このコロナは高圧なので原子や陽子が高速で噴出してきてます。これを太陽風といいます。

 この太陽風は

 一方、地球は大きな磁石(じしゃく)となっています。地磁気(ちじき)の北極は地球の南極から約1600kmはなれたところ、地磁気の北極は南極から約2600kmはなれた地中深くにあります。この磁力(じりょく)が働いている部分を磁気圏(じきけん)とよび、地上から120km以上の高いところにあります。太陽風の中の電子や陽子は、この磁気圏の中に蓄(たくわえ)えられ、特に太陽と反対側にたくさん集まり尾(お)がのびたように分布(ぶんぷ)します。そして何かの原因で爆発(ばくはつ)的に飛び出て磁力線に沿って、とんでいきます。磁力線が集まっている北極と、南極にたくさん飛んでいくわけです。これらが地球の上空の空気の原子とぶつかったときに空気中のガスの原子がエネルギーをもらい、そのエネルギーが光となって出てきます。これがオーロラです。
 このように、太陽から直接(ちょくせつ)飛んで来る電子や陽子がそのままオーロラを発生するのではなく、磁気圏に蓄えられたものが関係しているということは、南極での観察によってわかりました。
 オーロラは地上から80〜120kmの高さで(中にはもっと高い位置で)、緑や赤色、黄色といろいろな色を見せてくれます。この色はぶつかる空気中のガスの種類(しゅるい)によります。空気中には酸素(さんそ)や窒素(ちっそ)の他に、水素やナトリウムなどの原子がわずかに含まれています。例えば、酸素とぶつかると緑色や深い赤色、窒素では青やむらさき色、水素では青やオレンジ色、ナトリウムでは黄色の光が出ます。


 この
太陽風は先に述べたように電気を帯びていますので、磁力線の回りをくるくる回る性質があります。地球は方位磁針がいつも南北を示すように、北極がS極、南極がN極の磁石になっています。この地球という磁石はN極からS極に向かって図に示すように磁力線が出ていますので、この磁力線のまわりを太陽風に乗ってやってきたプラズマがクルクル周りながら電気エネルギーをためていきます。この電気エネルギーをためている場所は、主に南極や北極などの上空の磁気圏といわれるところで、大体、緯度70度付近高さは60〜1000km程度の上空になります。特に太陽と反対側の地球の陰に隠れたところに彗星の尾のように多く蓄えられます。この電気エネルギーが十分にたまり、それ以上ためることができなくなると、突然この電気エネルギーが高速な電子線となり、地球の地磁気に沿ってくるくる回りながら、地球の大気に衝突します。磁力線が多く集まっている北極や南極に多く突入します。 このように、太陽から直接飛んで来る電子や陽子がそのままオーロラを発生するのではなく、磁気圏に蓄えられたものがオーロラを発生しているのです。このとき、空気の中の色々な原子(酸素原子O:630nm 赤 558nm緑窒素分子イオンN2+:391nm等)にエネルギーを与えて、その原子が発光するのがオーロラとして見えるのです。その発光する原子の種類や、吹き付ける荷電粒子のエネルギーの大きさによって、色々な光り方をします。カーテン状になるのが有名ですが、放射状に光ったり、コロナ状に光ったりしますし、色も赤・緑・黄・青・ピンクなどの美しい彩りを放ちます。オーロラが発生するのは前に述べたように上空の非常に高いところ(60〜1000km)で起こっています。ちなみに、雲や普通のジェット機の飛ぶ高さは10kmくらい、スペースシャトルは250kmくらい上空を飛んでいます。また、天気予報で使用される気象観測衛星「ひまわり」はもっと高い36000kmところを飛んでいます。また、太陽風は太陽の活動状況によって強くなったり弱くなったりしています。スペースシャトルの観測によればオーロラは太陽と反対方向に膨らんだ形をしていることが判っています。また、南極と北極では同時に同じ形をしたオーロラが観測されると言われています。

2.では、日本では見られないのか?
簡単に結論を言いますと
低緯度オーロラという、通常のオーロラとはちょっと異なった赤い色のオーロラが見られることがあります。

さて、この低緯度オーロラについて説明しますと
日本でも昔から「
赤気」と呼ばれています。これは通常極の方で見られるオーロラと違って赤い色で光り緯度の低いところで見られるために低緯度オーロラと呼ばれています。最も古い記録は日本書紀に620年12月30日に観測された記録が残っています。また、最近では、1989年10月19日に発生した太陽面爆発(フレア)が引き金となった磁気嵐による低緯度オーロラが磁気嵐の二日後の21日に北海道と東北で観測されたものがあります。

では、低緯度オーロラが出る仕組みはどうなっているのでしょう?
低緯度オーロラは通常のオーロラよりも低い緯度の50〜60度の付近に降り注ぐ電子線によって引き起こされることが判っています。この電子は通常のオーロラを引き起こす電子よりも地球に近い内側でそのエネルギーを蓄えられるために、緯度の低いところに落ちてくると考えられています。また、この低緯度オーロラは緯度42度程度の北海道から見た場合、オーロラ下部の緑色は地平線に隠れて見えず、上のほうの赤い色だけが見えると考えられています。

3.オーロラの写真撮影
 
通常のオーロラの写真撮影は流星の写真撮影よりは簡単だと思います.天候に依存することといつ出るかわからないことを除けば、オーロラは出現すると数分間は続いているからです.三脚レリーズ一眼レフカメラは必要でしょう.フィルムはISO400くらいの高感度のもので、レンズは広角でなるべく明るいもの、露光時間は30秒程度がいいといわれてます.オーロラは刻々と変化しますので、露光時間が長すぎると動きのためにボケてしまい、短すぎると暗くなって鮮やかには写らないようです.

4.英語で詳しく書かれているサイトとしては下記を推薦致します.
アラスカ大学のホームページです。
http://dac3.pfrr.alaska.edu/~pfrr/AURORA/INDEX.HTM


 最後に、オーロラは太陽の活動周期に依存しています.来年の
2000年には太陽の活動が一層激しくなる年ですから、日本での低緯度オーロラが見られることが期待されます

 


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