【点像撮影に必要な露出時間と固定撮影の限界等級】
さて、ここで再度、点像撮影に必要な露出時間と固定撮影の限界等級を記載しておきます。
赤緯θ、カメラの素子サイズR mm、レンズの焦点距離L mmの場合固定撮影で星が点像に写る露出時間T sは以下のようにあらわされます。
T = 43200 atan(R/L) / π cos(θ) s
そして、レンズの絞りF、カメラの感度ISOとすると、極限等級Mは
M = 2.5 log ( ISO x (L/F)2x 43200 atan(R/L) / πcos (θ) ) – 6.5
でした。
【実写】
実際にアルタイル付近を自宅で固定撮影してみました。使用したカメラはPentax K5IIsをISO51200で、レンズはDA★200mmF2.8を、シャッター速度は1/3sで固定撮影してみました。 上の式から点像撮影に必要な露出時間は1/3秒、限界等級は13.3等級になります。さて下の写真のアルタイル付近をトリミングして、ガイド星表(Guide Star Catalog、GSC)と等級を記載してみました。概ね11等以上は撮影できています。
限界等級まで撮影できていない様ですが、写真のレベルを見ていただければわかるようにもう少し暗い天体も写りそうです。ちなみに、①GSC1058.1627 7.02等、②GSC1058.337 11.19等、③GSC1058.2595 10.12等です。
次に星像の大きさを確認します。上の写真の②GSC1058.337 11.19等を見ると1×1ピクセルに収まってます。では、三倍ほど露出時間を延ばして、1秒の露出時間をかけてみました。 すると下の写真のように12.65等や13.38等の恒星まで撮影することができるようです。星像は少し伸びているようですが、等倍なら気にならないかもしれません。
そこで、さらに2倍の2秒の露出時間をかけてみました。さすがに、ここまで伸ばすと明らかに星像は伸びていますが、写っている恒星の数も増えて見えます。これは、星像が肥大して、ノイズではなく星と判別できるためと思われます。
以上の結果から、固定撮影に必要な露出時間は理論値の3倍程度で、限界等級は理論値程度ということになります。