【ミルククラウン】
ミルククラウンってご存知ですか?
よく科学雑誌や、TVなんかでできますよね。牛乳を一滴たらした時に、王冠の様になるやつです。このミルククラウン(王冠)は落下した一滴の液体が落下の勢いの反発力によって、落下地点の中心部から吹き出す液体がそれが波となって増幅され周りに伝わり、跳ねあがったもので、落下した液体があけたくぼみの周りに飛び散ってできます。牛乳で良く見られる現象なので、ミルククラウンと呼ばれます。ミルクに限らず、色々な液体で落下させる液滴の落下距離や大きさ、比重、粘性、跳ね散る条件によって発生の仕方が違います。シミュレーションもいろいろやられていますが、かなり大変なようです。
このミルククラウンを家庭用デジタルビデオで撮影してみました。通常は高速度シャッターの切れるカメラやストロボを利用して撮影するようですが、家庭用ビデオカメラを使用して手軽に撮影することが可能です。
デジタルビデオカメラ
さて、デジタルビデオカメラは、ここでは何回も使っているパナソニックのDV-NS7です。このデジタルビデオカメラはシャッター速度可変ですので、高速度撮影時にぶれないで静止したようなビデオを取ることが可能です。
ビュレット
ここで、使用したビュレットは「簡易ビュレットの創り方」で作成したビュレットを使用します。ビデオで撮影しているので、ビュレットでなく、スポイトで一滴ずつ落としてもできると思います。
三脚
レリーズはカメラではないので必要ありませんが、三脚はデジタルビデオカメラを固定するのに必要です。
ビュレットスタンド
高さが調節できるといいのですが、私は適当なスタンドにセロハンテープでビュレットを固定しました。
皿
落下する液体を受け止めるのに小皿が必要です。この小皿に落下した瞬間を撮影するのですから。
飲むヨーグルト
そして大事なのが、飲むヨーグルトです。えっ、何で牛乳じゃないのかって?牛乳よりも粘性が高いので、ミルククラウンができやすいと思います。これじゃ、ミルククラウンでなくてドリンクヨーグルトクラウンだ何ていわないように(^^;;
【撮影方法】
さて、機材は上のとおりです。セットアップは右の写真のようにします。受け皿には予め1mm程度の深さに、飲むヨーグルトを入れておきます。ビュレットの下端から皿に注いだ飲むヨーグルトの液面までの距離は30~40cm程度にしました。これは、最初に述べたように、液体の粘性や落下の高さ、落下地点の条件(落下地点の液体の深さ)によります。これらのパラメータを色々変えてみて実験してみるのも面白いかもしれません。
さて、デジタルビデオカメラのシャッター速度を変えられる機種はなるべく高速にしましょう。ぶれないで取ることができます。但し、暗くなりがちですので、明るさには注意しましょう。私はシャッター速度を最も高速な1/8000秒に設定して撮影しましたが、ちょっと暗かったようです。ピンとはマニュアルで合わせます。ピンぼけになりやすいので注意してください。ズームで適当な大きさまで拡大すると良いでしょう。
これだけできれば、後は撮影です。ビデオをまわしてビュレットから飲むヨーグルトを落下させるだけです。何分か取っていれば良いものが取れるでしょう。
あとは、パソコンに取り込んで画像を取り出すだけです。デジタルビデオカメラは1/30秒毎に撮影できるので、その映像をみるこがでます。
【ミルククラウン】
では、じっくりとミルククラウンをご鑑賞ください。
0秒
とりあえずここを基準に0秒とします。落下する飲むヨーグルトの液滴が写っています。1/8000秒のシャッター速度ですので、ほぼ球形で静止しているかのようにぶれないで写っているのがわかります。
1/30(0.0333)秒後
ミルククラウン(ドリンクヨーグルトクラウン!?)ができたところです。丸い筒の上部に王冠のように花が開いているのが判ります。1/30秒毎にしか撮影できないので、ミルククラウンが成長する様子は見えません。100シーンくらい撮影してなるべく形の良いのを選んだつもりです。
突起の数を数えると20くらいでしょうか? 2/30(0.0667)秒後
出来上がったミルククラウンは崩壊し、中央から落下した液滴自身が反発して盛り上がったような形ですね。ミルククラウン自身の生成はもっと、細かい時間間隔で見なければ観察はできませんね。3/30(0.1)秒後
先ほど立ち上がっていた円柱状のものも沈んでいきます。4/30(0.1333)秒後
後には同心円の波だけが残ります。
5/30(0.1667)秒後
更に波も消えていき……
6/30(0.2)秒後
何も無かったかのような静かな液面だけが残ります。ほんの0.2秒ほどの世界です。