【科学のつまみ食い】  
コカ・コーラで歯や骨が溶けるのは何故ですか?

 

by I-satto@06/11/26

2000年4月21日に小学6年生の女の子からご質問を頂きました.。

コカ・コーラで歯や骨が溶けるのは何故ですか?

この質問の回答について以下のようなメールを2006年11月25日に頂きました。なお、送信者の氏名については、伏せさせていただきました。

 

科学のつまみ食い 管理者様

貴殿のHPで
コカ・コーラで歯や骨が溶けるのは何故ですか?
に対する答えの中で

「骨や歯の主成分が「リン酸カルシウム(第一リン酸カルシウムCa(H_2 PO_4)_2 ・H_2 O、第二リン酸カルシウム CaHPO_4 ・2H_2 O、第三リン酸カルシウムCa_3 (PO_4 )_2 )」であり・・・

とありますが、どこでお調べになったのか分かりませんが、これは正しくは「鉱物のアパタイトapatite, Ca10(PO4)6(OH)2,に近い組成を持つ生体アパタイト」と記してください。生体アパタイトは、生物が作り出したアパタイトで、種々の点で鉱物あるいは合成アパタイトとは異なっています。
骨や歯と一口に言っても構成する無機質成分の生体アパタイトはそれぞれに異なって個性を持っています。学術誌ではこれは常識ですが、医学、歯学の教科書ではそこまで詳しい話は載りません。
意外なことに、医者、歯医者でも教科書の知識で論文発表する人がいて、困ったことなのです。
少しでも正しい知識を広めるよう努めてください。

xx yyyy
日本大学松戸歯学部
組織・発生・解剖学

とのことですので、お知らせいただいたメールを元に、見え消しで修正しました。

ご指摘ありがとうございました。
 

ちなみに、アパタイトはリン酸塩鉱物の代表的なもののひとつで燐灰石とも呼ばれます。これは、Ca の一部が Pb に,Pの一部が Si,As に置換されたり、F,Cl,OH を主とする場合など、いろいろな形態で存在するようです。本ホームページは学術誌ではないので、メールでもご指摘のように、多くの間違いが存在するかもしれません。しかし、これらを元に多くの子供たちに科学に興味を持っていただければ幸いです。科学の啓蒙には正確さも必要ですが、多少不正確でも簡略さが重要な場合もあります。

 今後とも、いろいろな方の、ご意見ご指摘をお待ちしています。   

科学のつまみ食い 管理人 I-satto

 


 

 

 骨や歯はリン酸カルシウム(第一リン酸カルシウムCa(H2PO4)2・H2O、第二リン酸カルシウム CaHPO4・2H2O、第三リン酸カルシウム Ca3(PO4)2「鉱物のアパタイトapatite, Ca10(PO4)6(OH)2,に近い組成を持つ生体アパタイト」という物質が主成分で、これは酸に溶けます。従って、コカコーラに限らず多くの酸性の液体に骨や歯は解けてしまうのです。ところで、熱帯アフリカ原産のアオギリ科の常緑高木をコーラといいますが、その種子を主原料としている炭酸清涼飲料水がコカコーラです。この炭酸清涼飲料水いわゆる炭酸水は二酸化炭素(CO2)を(H2O)に溶かしたもので、炭酸(H2CO3)が水に含まれ、弱酸性を示します。この炭酸水が酸性なのでコカコーラは骨や歯を溶かします。しかし、コカコーラに限らず、多くの炭酸水は弱酸性を示しますので、炭酸清涼水一般が骨や歯などを溶かすこととなります。その他、果物類も酸性の物が多いので、骨や歯を溶かすでしょう。
 ところが、実際には炭酸水や酸性の物質、そして「コカコーラ」に直接何時間も骨や歯を浸していれば実際に溶けるでしょうが、普通に飲んだり、食べたりした場合にはそのようなことはありません。
 口の中では炭酸水(コカコーラ)などが直接歯に接しますが、極短時間ですし、その間に溶けることはありません。実際、コカコーラなどの弱酸性の炭酸水よりも食物のかすが歯についているほうが、歯を溶かして虫歯の原因になると思います。
 口から入った炭酸水は食道、胃、小腸とわたって、体に吸収されますが、この経過で、分解吸収されるので、直接骨に作用することはありません。ちなみに、胃液も酸性ですから、胃液自身で骨を溶かすことになってしまいますよね。

 ということで、コカコーラや炭酸水、その他の酸性の食物や飲み物を摂取することによって骨を溶かしていくことはないでしょう。ただ、同じものをいつも飲んだり食べたりするのはどちらにしても健康には良くないでしょう。

 ここでは「骨や歯の主成分がリン酸カルシウム(第一リン酸カルシウムCa(H2PO4)2・H2O、第二リン酸カルシウム CaHPO4・2H2O、第三リン酸カルシウム Ca3(PO4)2 )」「鉱物のアパタイトapatite, Ca10(PO4)6(OH)2,に近い組成を持つ生体アパタイト」であり、この「 リン酸カルシウム」「生体アパタイト」は酸に溶ける。」ということと、「コカコーラなどの炭酸清涼飲料水は二酸化炭素(CO2)を(H2O)に溶かしたもので、その中には炭酸(H2CO3)が含まれ、弱酸性である」、そして、「炭酸清涼飲料水は消化器官により吸収されても直接骨に作用して、それを溶かすことはない」ということを覚えておいてください。


 

 

科学のつまみ食い