暗闇でヒータが赤く、ストーブの炎が青い理由


光の色について赤い服は赤い色を反射すすため赤くみえるとのことですが、全く光のない暗闇でヒーターの色が赤くなりストーブの炎が青くみえるのが理解できません。なぜでしょうか

2000年3月16日に中学2年生の女の子からご質問を頂きました。


洗濯物の続きですね(^^)
 さて、赤い服は赤い色を反射しますが、もともとの光は何処からきたものでしょう?
 戸外なら太陽の光でしょうし、屋内なら蛍光灯や電球の光ですね。ここでは、太陽の光で話をします。
 プリズムは知ってますか?
 プリズムは光の色を分けることができます。太陽光をプリズムに通すと、洗濯物の乾き方の時に書いたように、虹の色の順番と同じく、赤(800nm)、橙、黄、緑、青、紫(400nm)という具合に下の図のように光が分かれます。ちなみに虹は空気中の水蒸気がプリズムの役目をしているのです(形は三角ではないですが…)
color

 このように。太陽の光にはいろいろな色が含まれているのです。そこで、赤い服ではこのいろいろな光のうち赤い光を反射し、その他の色は吸収してしまいます。青い光は青い光を反射し、その他の色を吸収します。ちなみに、赤い光を取り除いた光を赤い服に当てると黒い色になるはずです。(本当は赤い服でも赤以外の光も少し反射しているので真っ黒にはならないですが…)
 さて、太陽の光にはいろいろな光が含まれていることがわかりましたね。では、どうして、ヒーター(電気ヒーター?)は赤い色ストーブ(石油ストーブ?)の炎は青い色なのでしょう?こちらは光を反射しているのではなくて、光を出しています。
 まずは、電気ヒーターを考えましょう。電気ヒータは電気の力でヒータを加熱していて、実際に何かが燃えているわけではありませんね。温度が高くると、どんな物は光を出すようになります。この光の色は温度によって異なります。 例えば、鉄等の金属でも温度を上げていくと赤い光を出します。どんどん温度を上げていくと光る色が変わって黄色になり、青白くなり、ついには真っ白になって光ります大体、色と温度の関係は次のようになります。

温度℃

暗い赤 500~800
明るい赤 800~1000
黄色 1000~1100
まぶしい黄色 1100~1300
1300~1500
まぶしい白 1500~

ということで、電気ヒータは温まって赤く光っているのです。その温度は大体500から1000℃くらいでしょう。
 さて、次は石油ストーブです。こちらは温まって光ってるだけではなく、物が燃えています灯油が燃えているのですね。物が燃えている場合には熱せられて、ただ温度が高くなっている電気ヒータの場合とちょっと違っていて、燃えるものの種類や燃え方によって色が異なりますし、電気ヒータと同じようにその炎の温度が高くなると色も変わります
 石油ストーブだけではなく色々な炎を考えてみましょう。例えば、石油ストーブはおっしゃるように青い色をしています。しかし、ローソクの炎は、きれいなオレンジ色をしています。ガスコンロはどうでしょう?こちらも青い色をしていますね。では、ローソクの炎はどうしてオレンジ色なのでしょう? 物が燃える時には空気(酸素)が必要なのは知っていますね。オレンジ色の炎は空気の量が少ないために、うまく燃えていないのです。不完全燃焼ですね。この不完全燃焼の時には、オレンジ色になります。しかし、ちゃんと燃えると炎の色は石油ストーブやガスコンロのように青白く燃えます。
 この燃え方(完全燃焼不完全燃焼)の他に燃えるものによっても色が異なります。例えば、石油やガスなどの燃料の中に、アルカリ金属が含まれている色が変わります。また、このアルカリ金属の種類によって色が違います。これを炎色反応といい、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの塩類を無色の炎の中に入れて強熱すると、各金属に特有の色がでる反応で、例をあげると以下のようになります。

元素 炎色
ルビジウム 深赤
セシウム 青紫
インジウム
タリウム 黄緑
ナトリウム
カリウム 赤紫
カルシウム 橙赤
バリウム
ストロンチウム 深赤
青緑
リチウム 深赤
ガリウム
スズ 淡青

これによって元素分析ができたりします。
ということで、燃えるものによって色が違うことは判りましたか?
さて、まとめて見ましょう。
赤い服青い服などは自分で光を出さないで、その色の光を反射して違う色を吸収してしまいます。
 電気ヒータや石油ストーブは自分で光を出します。この時、温度や燃えるもの、燃え方によって色が異なるのです。

大体判りましたか?
色、光、温度、これらは色々面白いですよ。

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