世の中から摩擦がなくなるとどうなるの?


こんにちは。私は中学3年生の女子です。

実は、冬休みの宿題で、「もしも、まさつ力がなくなったら」というテーマでレポートを書かなければならないんです。もし、世の中からまさつ力がなくなったら、どんなことが起こるかおしえてください。

2000年1月5日に中学3年生の女の子からご質問を頂きました.。


 もし、世の中に摩擦力がなくなったらどうなるかということですね.

 まず、摩擦力とは、どういうものでしょう?
ふたつの物が接触して互いに動いているときに、その接触した面でその動きを妨げようとする力が運動と反対の方向にはたらくこと、あるいは、その力のことを摩擦とか摩擦力ということは習いましたね.。とまっているものに働く摩擦(力)を静止摩擦(力)、互いに動いているときに働く摩擦(力)を運動摩擦(力)あるいは単に動摩擦(力)といい、この運動摩擦(力)は運動の種類によって二つの種類に分かれ、氷の上をすべるような摩擦(力)を滑り摩擦(力)といい、ボールが転がるような場合を転がり摩擦(力)といいます。このほか、水などの液体の内部にはたらく内部摩擦(粘性)等もあります。 平らのところにある場合

 もうちょっと,詳しく摩擦力の説明をすいましょう。

 まず、右の図の様に平らなテーブルの上に物が静止している場合を考えます.この場合は、物に重力が働いているだけで、運動はしません.運動しようとする方向は下向きで、それを阻止しているのはテーブルからの垂直抗力(反発力ですね)により止まっています.この場合は重力と垂直抗力は同じ大きさです.また、この場合は,摩擦力は静止摩擦力も含めて働いていません.

静止摩擦力 では、この平らなテーブルを徐々に傾けていくとどうなるでしょう?最初は止まっていますね.この場合は静止摩擦力が働いています.左の図を見てください.重力が下向きに働いています.さて、この力を斜面に平行な方向と斜面に垂直な方向に分解します.力の分解と合成を参考にしてください.この斜面に平行な力は、この傾けたテーブルを滑ろうとする力ですね.斜面に垂直な方向の力は斜面に加わる力で斜面を押し付ける力です。さて、このは先の平らなところにある物体のところで書いたのと同様に垂直抗力と等しくなります。この時、摩擦力とこの垂直抗力との比を摩擦係数μといい、下の式で表されます.

μ=F/F

さて、上の図のように、斜面で物体が静止しているときには摩擦係数は静止摩擦係数μ0と呼ばれ、このときの静止摩擦力(=μ0と同じ大きさになります.次に,この傾きを引き続き大きくしていきます.そうです、どんどん傾けていくとこの斜面の物体はある傾きで突然滑り出します.この角度を摩擦角θ0と言います。この摩擦角静止摩擦係数との関係を求めてみましょう.これは、ちょっと考えれば判りますが,先に述べたように静止しているときは静止摩擦力斜面を滑ろうとする力は同じなので、=F=μとなりますが、重力から力の分解で求められ,それぞれ、=Gsinθ0=Gcosθ0ですから、

μ0=F/F

    =Gsinθ0/Gcosθ0

=tanθ0

となります。物体が止まっているときは0<tanθ<μ0になります。一般に運動しているときの動摩擦係数μ静止摩擦係数μ0より小さくなり、これは、滑り摩擦でも転がり摩擦でも同じです.

さて、難しい話は置いておいて、世の中から摩擦力がなくなったらどうなるか考えてみましょう。摩擦力がなくなるということは、上の話では摩擦係数μが0になるということです.

 静止摩擦力というのはどういうものでしょう?上で摩擦力を見てきたように、物が止まっているときに、その状態を保っている力です。斜面にとどまっていようとする力ですね.例えば、大工さんが家を建てるときにくぎを使いますね。くぎで2本の木を打ち付けて、止めています。くぎはどうして木から抜けないのでしょう? それは、くぎが木を押しつぶし、その木の抗力がくぎに働き、その抗力が摩擦力(垂直抗力x摩擦係数)になっているからです.ということは、この摩擦係数が0になると、釘は木を止めることができずに抜けてしまいます.そうです。くぎと木の間には静止摩擦力が働いているのです。従って、静止摩擦力がなければ、くぎで物を止めることはできないので、家は建てられませんね.ねじボルトも同様に静止摩擦力で止まっていますから、建築物や機械を作ることはできなくなります。また、雪山で雪崩が起こることはご存知ですよね.雪崩は、雪が山の斜面を滑り落ちる現象です。雪崩が起きていないときは静止摩擦力が働いて、雪山に雪が止まっています.すると、雪山に静止摩擦力がなくなると、山の雪は全て滑り落ちてしまうでしょう。同じように、山の岩や土も静止摩擦力でとどまっていますから、静止摩擦力が働かなくなれば、山自体が崩れていくことになります.すると地球にはでこぼこはなくなりますね.富士山も、エベレストもみな崩れて、凹凸のない地球ができるでしょう.このように静止摩擦力はものを形作る上で重要な役割を果たしています。
 もうちょっと身近なものを考えてみましょう.綱引きをすると、手には静止摩擦力が働いていますね.手から綱がすべるとすべり摩擦力に変わります。足で踏ん張っているのも静止摩擦力ですが相手が強くて、こちらが引っ張られる場合には、静止摩擦力からすべり摩擦力に変わっていますね。物を持ったり、足で踏ん張ったりするのは静止摩擦力ですから、静止摩擦力がなくなると、物も持てなくなる(ぬるぬるしたすべるものは持ちにくいですね.)し、踏ん張ることもできなくなるので、立っていることはできなくなり、きっと地べたに這いつくばることでしょう(^^)。.スキーやスケートですべるときにはすべり摩擦が働いていますが、静止摩擦力が小さいので、立つのが難しくなったり、歩くのが難しくなったりするのと同じ状態です。ちなみに、スキーやスケートで曲がることができるのも摩擦力のおかげです。同じように自動車も、バイク自転車曲がるときには摩擦力が働いていますね。物が動き出すときには力をどこかに伝えなければなりません。歩くときや自動車などは地面に力を加えなければなりません。このときには静止摩擦力が働いています。では、水中では動でしょう? 水に力を加えられるのは,水に粘性(摩擦力)があるためです。ですから、水との摩擦が無ければ,泳ぐこともできませんし、船のスクリューは水に運動を伝えられなくなります。では、空では動でしょう?ヘリコプターもまったく同じです。このように、静止しているものは静止摩擦力が働きますから、身近なもので、静止摩擦力が働くものを探してみると良いと思います.

運動摩擦力とは、どういうときに働くか考えてみましょう.
まずは、滑り摩擦力を考えてみましょう.
先ほどの雪山の雪崩が起こるときや、スキー、スケートですべるのは滑り摩擦です。この滑り摩擦力は、動きを止めようとする力なので、これが無くなると、いつまでも動きつづけることになります.そうです。ブレーキが効かなくなるのです。動いているものは永久に動きつづけようとすることでしょう。自動車も自転車もスキーもスケートも動いているものを止めることができなくなります.また、滑り摩擦力はその摩擦の力によって運動をエネルギーに変えます。大昔の人たちが、木をこすり合わせて火を起こしたり火打石で火をつけたりするのも滑り摩擦力があるからです.マッチで火をつけるのもそうです。滑り摩擦が働くときにはその摩擦で失われたエネルギーが熱や音に変わります。例えば先ほどのマッチや火打ち石は、滑り摩擦力で火を起こすというエネルギーに変化させています。従って、滑り摩擦力がないとこのような方法で火を起こすことはできなくなりますね.

では、転がり摩擦力はどうでしょう?
タイヤが地面を回転していくのは転がり摩擦があるからです.すると、転がり摩擦力がないと、タイヤを使って動くものは全て動かなくなります。回転を伝えることができなくなるからです.自動車、自転車バイク、電車….何も動くことはできませんね.

このように、私たちの世界は摩擦力が働くことによって、いろいろなことが可能になっています.摩擦力のない世界というのは、実際には考えられないことですが、想像してみると不思議で面白い世界だと思います.

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