【花粉量のグラフ】
ここに示したのは2007年の花粉の飛散状況を示したグラフです。横軸が月で、縦軸が1cm2あたりの花粉量です。 矢印の日は花粉の飛散状況のトピックスが記載されています。2006年の花粉飛散量と比べると最大で3倍近い量の花粉が飛散していることがわかります。10月に突発的に花粉の飛散量が多いのは、たぶん昆虫などがスライドグラスの上に花粉を運んだのではないかと思われます。
初のスギ花粉
2007年1月18日に最初にスギ花粉らしいき花粉を観測しました。その後1月27日~29日までの3日間連続して1個/cm2以上の花粉を観測しましたので、花粉の飛散開始日は1月27日となります。昨年の花粉飛散開始日は2月22日でしたので、約1ヶ月くらい早い飛散開始日です。この年は暖冬で暖かいので、開始日が早くなったようです。
通常、飛散開始日は『1月1日より初めて連続2日以上 1個/cm2以上が観測された最初の日』とされています。
【トピックス】
1月27日 今年の花粉飛散日
今年になってから1日1l個/cm2以上の花粉が飛散した日が何一かありますが、残念ながら、いや幸いなことに二日以上続けて飛散することはありませんでしたが、ついに1月27、28、29日と三日連続して1個/cm2以上の花粉が飛散しました。したがって、今年の花粉飛散日は1月27日になります。昨年は2月22日が花粉飛散開始日だったので、1ヶ月近く早く飛散し始めたことになります。しかし、昨年は、この2月22日に飛散を始めたのはスギ花粉だったのですが、今年は、スギ花粉ではなく、下の五角形の花粉でした。一応、1月18日に1個だけスギ花粉を確認していますが、それ以来はあまり見かけません。
1月31日 五角形の花粉 ハンノキの花粉??
1月に花粉飛散開始が始まった後、スギ花粉が1日あたり1個/c㎡程度の花粉が飛散していますが、時々5角形の花粉が観察されます。右の写真のようなこの花粉は何の花粉でしょう?大きさは、5角形の一辺が15.8μmで、頂点には、くぼみが見られます。このくぼみは、頂点から3.8μm内側まで広がっています。このくぼみの幅は5.6μmです。 年の一番最初のころに飛ぶ五角形の花粉はカバノキ科ハンノキ属の植物に見られる特徴です。ハンノキの仲間で有名なのは白樺ですね。北海道ではシラカバの花粉症があるようです。
撮影情報は
対物レンズ Plan Apo10
接眼レンズ FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/40
です。
2月7日 スギ花粉
今年のスギ花粉も示しておきます。水戸では、2月2日に梅の開花宣言が出ましたが、その後、2月6日から徐々に花粉の量が増えてき ました。2月10日には100を超えるスギ花粉が飛びました。右のスギ花粉の写真は2007年2月7日に確認したものです。直径は29.5μmで、ちょっと小さめでしょうか?突起の長さは4,0μmで、根元の太さは4.7μmです。
撮影情報は
対物レンズ Plan Apo10
接眼レンズ FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/40
です。
2月8日 五角形の花粉 ハンノキの花粉??
さて、2月8日にも1月31日に採取された五角形の花粉と同じ花粉が採取されました。やはりハンオキだと思います。昨年は、このような花粉は見られなかったのですが、いったい何の花粉でしょう?近所では少し梅が咲き始めています。20本の梅の木あたり、1本程度が咲いていますが、梅の花粉でないことは昨年の観察から明らかです。
撮影情報は
対物レンズ Plan Apo10
接眼レンズ FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/30
です。
2月15日 春一番
2月15日に春一番が吹きました。去年は3月7日だったので、半月以上早い春一番です。この日は400個以上の花粉が飛びました。去年の春一番の際には200個弱で、これが去年の最大の花粉飛散量でしたが、今年はその倍以上の飛散量です。右の写真はその翌日に撮影したスギ花粉です。4つまとまっているのを撮影してあります。いずれの花粉もスギ花粉の特徴であるパピラと呼ばれる突起が良く見えています。近所では梅の花が咲き始めましたが、梅の花粉はまだ飛んでいないようです。もともと梅は虫媒花なので花粉の飛散量は非常に少ないです。
撮影情報は
対物レンズ Plan Apo10
接眼レンズ FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/60
です。
2月23日 割れたスギ花粉
スギ花粉がアレルギーを引き起こすのは、花粉が呼吸と共に鼻腔に付着し、鼻腔の水分で花粉が破裂し、内容物が出てくるためです。右の写真は2月23日に採取したスギ花粉です。破裂したスギ花粉と、破裂していないものが並んでいます。
撮影情報は
対物レンズ Plan Apo10
接眼レンズ FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/50
です。
この日は今年一番の花粉が舞った日です。その数は、486個/cm2を超え、去年の2倍以上も舞っています。花粉症の方はさぞかし大変だったことでしょう。
3月26日
ソメイヨシノの花粉
空中花粉採取器にソメイヨシノの花粉らしいものが3月26日に採取されました。ソメイヨシノのはミツバチなどが花粉の媒介をする虫媒花ですが、風で飛ばされることもあるのでしょう。後ほど、桜の花粉は別途採取してあるので、染色した「ソメイヨシノ」の花粉と比べてみてください。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/100
です。
杉の花粉
こちらは杉の花粉です。3月下旬でもスギ花粉はまだまだ盛んです。ちなみに、大きさ的には桜の花粉と大差ないですね。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/60
です。
何の花粉?
さて、こちらは、何の花粉でしょう?ちょっと良くわからないです。背景が荒れているのは、この部分のワセリンが多かったためでしょう。スギ花粉特有のパピラが見えないこと、大きさがスギ花粉の半分程度であることから、杉ではない と思います。時期的にはヒノキとも考えられます。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/200
です。
4月6日 松の花粉
さて、これは2007年4月7日に空中花粉で採取した松の花粉です。3月30日頃から松の花粉が観測され始めました。スギ花粉も一時期よりは少ないですが、相変わらず観察されています。松の花粉は他の花粉に比べ非常に大きく、気室と呼ばれるミッキーマウスの耳のようなものが特徴的です。この気室のために、空中に散布されます。
大きさは中央部の青いところの短径が62μm、長径が80μm、ミッキーの耳のような黒い部分、いわゆる気室の短径は31μm、長径は44μmです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/80
です。
4月20日
松の花粉
右の写真は4月6日観測された松の花粉と同じ種類のものですが、ミッキーの耳の上のほうから見ている形になっています。大きさは若干小さく、厚みが41μm、気室の間隔は18μm、気室の厚みは33μmです。気室の外側の距離、すなわち最も広い部分の距離は65μmです。上の大きな松の花粉のこの長さが、105μmですので、上の数値とこの数値を関連付ければ、全体の形がわかりますね。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/25
です。
別の種類の松の花粉
右の写真も松の花粉ですが、種類は異なるようです。上の松の花粉は気室が濃く染まっていますが、こちらは染まりが弱いです。上の松の花粉と逆にミッキーの耳の反対側から見た 形になっています。本体は球形で、大きさは上の花粉とほぼ同じで、直径が38μm、気室の直径は若干小さく、直径は32μmです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/20
です。
杉の花粉
この日も含めて、まだ杉の花粉が舞っています。一時よりはだいぶ少なくなりました。パピラが見られるので杉の花粉で間違いないでしょう。折角ですので、直径を計りました。36μmでした。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/25
です。
何の花粉
この花粉は昨年は4月30日に写真を撮影したものと似た写真です。昨年も書いていますが、花粉はかしわやかし、こならなどのぶな科の植物ではないかと予想してます 。この種の花粉は通常4月下旬からの飛散なので、時期的にも会います。三角形の一辺の長さは27μmです。昨年の花粉は37μmほどですから、同じものでしょう。写真では丸く見えますが、頂点部分が染色されていない三角形をしています。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/25
です。
4月22日 何の花粉
こ ちらの花粉も三角形です。大きさは上の花粉より若干大きめで、42μmです。上の花粉は丸く膨らんでいますが、こちらは正三角形をしています。どちらも同じ花粉だと思いますので、たぶんぶな科の植物の花粉でしょう。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/30
です。
5月13日
松の花粉
5月に入ってから、杉の花粉は少なくなり、変わりに松の花粉が多く飛んでいます。右の写真はこの日に撮影した松花粉です。 最も広い部分の長さは66μmで、4月20日の花粉とほぼ同じ大きさで、4月6日の花粉よりも小ぶりです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/100
です。
次の写真も松の写真で、この辺では上の写真と合わせて、この2種の花粉が飛んでいます。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/200
です。
ぶなの花粉??
こちらの花粉は三角形の、ぶならしき花粉です。大きさは4月22日の花粉 と同じくらいです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/50
です。
何の花粉??
では、こちらは何の花粉でしょうか?大きさは直径20μmで、ヒノキの花粉でしょうか?5月初旬から多く見られています。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/100
です。
5月24日
松の花粉
一番上の写真は松の花粉です。松の花粉は4月の最初に観察されて以来、2ヶ月以上観察されています。結局入梅の六月初旬までの長い期間観察されました。最も長い部分の長さは63μmで5月13日の松の花粉と同程度の大きさです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/40
です。
何の花粉??
形は丸いですが、三点に突起状の濃く染色された部分が見られます。この花粉の直径は26μmで、ぶなの花粉と同じ程度の花粉です。ただ、色の染まり方が違うことと、基本的に球形であることから、ぶなの花粉かどうか確信は持てません。いったい何の花粉でしょう?
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/80
です。
何の花粉? 小さな花粉
こちらは、小さな花粉です。直径13μm程度で、過去に見られた小さな花粉の半分くらいです。この日は非常にたくさん観測されました。こちらは何の花粉でしょうか?
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/60
です。
6月6日
松の花粉
一番上の写真は松の花粉です。こちらは、気室が染まりにくい松の花粉です。長さは、62μmで、5月24日の松の花粉は同種のようです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/25
です。
何の花粉??
こちらは丸い花粉です。完全に丸く三角の頂点も見られないので、ぶなの花粉でないことは明らかです。この花粉の直径は36μmで、ぶなの花粉よりは若干大きいことがわかります。さて、何の花粉でしょう?
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/25
です。
何の花粉? 小さな花粉
こちらは、小さな花粉です。直径19μm程度で、5月24日の小さな花粉よりは大きいです。写真にたくさん見られるのが、この小さな花粉で、下に見られるのは大きな花粉です。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/25
です。
6月~9月
6月8日に梅雨入りして、花粉の量がめっきり減りました。杉と松の花粉、ぶならしき花粉が飛ばなくなると極端に花粉量が減ります。9月に花粉の飛散量が若干増えています。この花粉 についてはあ残念ながら写真は撮っていません。
10月10日 多量の花粉 セイタカアワダチソウの花粉??
10月10日に突発的に花粉の飛散量が多くなっています。 2月23日の486個/cm2上回る541個に及びました。
何でこんなに多くの花粉が採取されたのでしょう?昨日は0個/cm2、翌日でも5個/cm2、ここ数日では、5個/cm2を肥える花粉は飛散していないので、この日だけです。風によって運ばれたようではないようです。また、右の花粉の顕微鏡写真をよく見てみると、トゲトゲのある球形の花粉で、その大きさは、18μmで、とげの長さは2μmです。また、写真中央部には染色の薄い花粉が見えますが、これらは、キクイモやセイタカアワダチソウの花粉の様に見えます。。この時期、近所の空き地では、キクイモは終わり、セイタカアワダチソウが咲いていますので、たぶんセイタカアワダチソウの花粉ではないかと思います。セイタカアワダチソウは虫媒花なので、この空中花粉採取器に蛾や蜂などの昆虫が運んだ為に突発的に花粉が大量に採取されたものと予想されます。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/15
です。
10月11日 少量の花粉 セイタカアワダチソウの花粉??
10月10日に採取されたものと同じタイプの花粉です。やはりとげがあり、セイタカアワダチソウの花粉のようです。
撮影情報は
カメラ Pentax *ist D
対物レンズ Olympus Plan Apo10
接眼レンズ Olympus FK6.7 (0.1138μm/pix)
ISO 200 SS 1/13
です。
以上が、この2007年の空中花粉の観測結果です。